古井医院(愛知県豊田市)院長の古井宏彦氏

 現在、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)は、効果は緩徐だが確実な降圧効果が得られ、副作用が少なく臓器保護作用があるなどの利点から日本でも多く処方されている。しかし、種類が多く、その使い分けについてはさまざまなエビデンスが見られる。こうしたなか古井医院(愛知県豊田市)院長の古井宏彦氏は、ARB服用高血圧患者311人の処方実態をまとめ、実地医家として6つのARBをどう使い分け、どのような効果実感が得られているのか、10月20日から宇都宮で開催中の日本高血圧学会(JSH2011)で発表した。

 対象は、古井医院外来通院治療中でARB製剤を処方している311人(男性171人、女性140人)。

 6つのARBの使用内訳は、ロサルタン54人(男性20人、女性34人)、カンデサルタン55人(男性40人、女性15人)、バルサルタン63人(男性36人、女性27人)、テルミサルタン49人(男性25人、女性24人)、オルメサルタン45人(男性27人、女性18人)、イルベサルタン45人(男性23人、女性22人)。ロサルタン使用群では女性の比率が高く、カンデサルタン群では男性の使用比率が高かったが、それ以外では男女間の使用頻度に差がなかった。

 利尿薬、Ca拮抗薬、β遮断薬などとの併用の割合が高かったのはカンデサルタン(66%)、バルサルタン(73%)、オルメサルタン(67%)で、それ以外は単独使用が多かった。「ロサルタンやテルミサルタンは、最初あまり効果が得られなくても粘り強く5、6カ月使っていくと効果が得られるようだ」と古井氏。

 各ARB群間で年齢、合併症などの患者背景、降圧達成率に有意差はなかった。

 それぞれのARBの臨床的な有用性について古井氏の効果実感をまとめると、ロサルタンは左室肥大の退縮効果、カンデサルタンとオルメサルタンには中等症以上の高血圧の病態改善、合併症進展予防に有効だった。またバルサルタンは心血管イベント抑制、テルミサルタンはメタボリックシンドローム・高度肥満の合併例、イルベサルタンは中等度までのCKD合併例に対して、それぞれ有効だったという。

 古井氏は、「ARBには、臓器保護作用の強さや抗炎症作用などの差異によるドラッグエフェクトが存在すると考えられる。実地医家としては費用対効果も考慮しつつ、高血圧患者の病態に適したARBを選択することが大切だ」と語った。

(日経メディカル別冊編集)