九州大学病院の二宮利治氏

 心血管疾患発症の絶対リスク評価に、ガイドラインJSH2009が提唱するリスク層別化は有用であることが示された。また、JSH2009で新たなリスク要因として加えられたメタボリックシンドローム(MetS)とCKDのうち、MetSを除いて層別化しても影響がないことも明らかになった。九州大学病院の二宮利治氏が、10月20日から22日まで宇都宮で開催中の日本高血圧学会(JSH2011)で発表した。

 二宮氏はまず、日本高血圧学会がまとめた高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)が提唱する、心血管疾患発症リスクを層別化して評価し治療に結びつけることの妥当性を検証した。

 対象は、福岡県久山町のコホート研究において、1988年に循環器健康診断を受診した40歳以上の2736人のうち、食後採血者、心血管疾患既往者を除いた2526人。追跡期間は1988年12月1日から2007年11月30日までの19年間で、前向きに追跡した。

 JSH2009に基づき、血圧レベルを至適・正常血圧(収縮期/拡張期血圧:130/85mmHg未満)、正常高値血圧(130-139/85-89mmHg)、1度高血圧(140-159/90-99mmHg)、2・3度高血圧(160/100mmHg以上)の4群に分類し、血圧以外のリスク要因を3層に層別化した。評価項目は心血管疾患の発症とし、ガイドラインを評価するための指標として、10年間の心血管疾患の発症率を生命表を用いて算出した。

 検討の結果、追跡期間中に418人の心血管疾患の発症を認めた。10年間の心血管疾患発症率を求めたところ、至適・正常血圧で6.0%、正常高値血圧で10.0%、1度高血圧で12.7%、2・3度高血圧で21.9%だった。これらの成績をもとに、10年間の心血管疾患発症率別に、2.0%未満を「付加リスクなし」、2.0-6.9%を「低リスク」、7.0‐11.9%を「中等リスク」、12.0%以上を「高リスク」と定義し、JSHガイドラインが提唱するリスク分類との比較検討を行ったところ、双方で一致することが確認できた。

 次に、JSH2009で新たなリスク要因として加えられたMetSとCKDについて、それぞれの妥当性を検討した。その結果、CKDはリスク要因から除くと影響が出ることが分かった。一方、MetSは、リスク要因から除いても影響がないことも明らかになった。

 今回の二宮氏らの検討結果は、日本高血圧学会理事長の島田和幸氏が2014年度には改訂をとの思いを示したガイドラインJSH2009の改訂論議にも生かされていくに違いない。

(日系メディカル別冊編集)