宮崎大学の池ノ上実氏

 海岸部と山間部の住民(高血圧を有する高齢者)の間で、血清EPAおよびDHA値、認知機能について調べたところ、海岸部の方が山間部よりも血清EPAおよびDHAの値が高く、認知機能も有意に高いことなどが分かった。10月20日に宇都宮で開幕した日本高血圧学会(JSH2011)で、宮崎大学の池ノ上実氏らが発表した。

 対象は、宮崎県の山間部(東臼杵郡南郷村)、および海岸部(延岡市北浦町)の高血圧を有する高齢者、計587人(平均年齢72.9歳、男性42%、山間部324人、海岸部263人)。

 評価項目は、血清EPA値、およびDHA値、MMSEスコアによる認知機能、24時間血圧測定で、横断的に検討した。

 その結果、海岸部の住民は、山間部の住民と比較して血清EPA値(72.3対63.9μg/mL、P=0.02)、DHA(157.8対137.6μg/mL、P<0.001)が高値だった。

  またMMSEの平均値は、海岸部住民が27.1に対し、山間部住民は25.5で有意な差が見られた(P<0.001)。これは血清EPA値を含む交絡因子で補正後も有意だった(P<0.001)。

 MMSEスコアと各種臨床パラメータとの単相関を調べたところ、年齢、性、喫煙歴、教育歴、高血圧の治療歴、脳血管イベントの既往、24時間血圧は、いずれも有意な相関が見られた(Spearman相関;r=-0.094〜0.341、すべてP<0.05)、また、血清EPA(r=0.116)とDHA(r=0.123)も有意な相関を示した(いずれもP<0.01)。

 重回帰分析を行ってMMSEを規定する因子を検証したところ、血清EPA(β=0.091、P=0.014)およびDHA(β=0.087、P=0.018)は、いずれも年齢、教育歴、24時間血圧とは独立した因子であることが示された。

 なお、フロアとの質疑応答の中で池ノ上氏は、「山間部と海岸部における認知症の有病率の違いや、食事に関するEPA・DHA以外の影響についての検討は行っていない。今後、両地域の認知症の発症率の違いなどを前向きに検討していくことが必要だ」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)