香川大学循環器・腎臓・脳卒中内科の海部久美子氏

 外来診療で尿中アルブミンを測定する場合は、早朝尿の方が随時尿より安定した値を得るために有用であることが報告された。香川大学循環器・腎臓・脳卒中内科の河野雅和氏らのグループが検討したもので、同科の海部久美子氏が、10月20日に宇都宮で開幕した日本高血圧学会(JSH2011)で発表した。

 尿中アルブミンは、慢性腎臓疾患(CKD)や心血管疾患(CVD)の発症を予知する因子として有用であることが報告されている。このため、尿中アルブミンの測定は、外来診療において臓器障害の診断マーカーとして重要になるとみられている。しかし、測定サンプルを早朝尿とするのがいいのか随時尿でいいのかについては、明快な回答が得られているとは言えない。そこで海部氏らは、早朝尿と随時尿での尿アルブミン濃度(UAC)やアルブミン/クレアチニン比(UACR)に着目し、比較検討を行った。

 対象は、香川大学循環器・腎臓・脳卒中内科の外来に通院中の非糖尿病患者のうち、eGFR>50mL/分/1.73m2、随時尿UACRが30〜1000mg/gCr、ARBまたはACEIを内服中の患者とした。検討では、早朝尿アルブミン濃度を連続3日間測定し、早朝第一尿と外来時の随時尿について比較検討した。

 対象となった患者は22人で、原疾患は高血圧が16人、慢性糸球体腎炎寛解期が6人だった。年齢は61.5±12.6歳、性別は男性11人、女性11人、収縮期血圧は133.9±15.5mmHg、拡張期血圧は79.5±11.8mmHgなどだった。随時尿蛋白は0.26±0.2g/gCr、随時尿アルブミン濃度は227±172.6mg/gCrなどだった。

 検討の結果、連続3日間の早朝尿UACRの平均値と3カ月以内に測定した随時尿UACRの平均値を比べたところ、有意に随時尿UACRの方が高かった。また、随時尿のUACRには有意なばらつきを認めたが、早朝尿ではUACRのばらつきに有意差は認められず安定した値が得られることが分かった。

 海部氏らは、尿アルブミン測定は24時間蓄尿で行うことがgold standardであるとしつつも、外来において24時間蓄尿による測定を定期的に行うことは困難と指摘した上で、「外来診療における尿中アルブミンは早朝尿での測定が推奨される」と結論した。また今後は、尿アルブミンの測定方法の標準化を進めるなど、さらなる検討が求めれると指摘した。

(日経メディカル別冊編集部)