福岡大学筑紫病院の東條秀明氏

 長時間作用型Ca拮抗薬は高い降圧作用が得られることから頻用されているが、臓器保護作用を示すことも報告されている。しかし、臓器保護作用にみられる個々のCa拮抗薬の特性を薬剤間で直接比較した研究は少ない。福岡大学筑紫病院の東條秀明氏らは4種類のCa拮抗薬を高血圧患者に投与し、降圧とそれに伴う脈拍の変化、腎機能に及ぼす影響を検討した結果を、10月15日から福岡市内で開催された第33回日本高血圧学会総会において報告した。

 対象は外来でCa拮抗薬による治療を受けている本態性高血圧患者79例で、その臨床データを後ろ向きに解析した。79例のなかにはCa拮抗薬以外の降圧薬により治療を開始した患者も含まれており、観察期間中にARB、ACE阻害薬の用量、種類が変更となった患者は除外した。

 4種類のCa拮抗薬は、ニフェジピンCR(N群:11例)、シルニジピン(C群:19例)、アゼルニジピン(Az群:38例)、アムロジピン(Am群:11例)。Ca拮抗薬投与開始後1年間のカルテデータにもとづき患者背景を調査するとともに、投与開始前、開始後6ヵ月後、12ヵ月後の3時点における血圧、脈拍、血清クレアチニン濃度(Cr)、Cr換算尿中微量アルブミンの推移を評価した。

 Ca拮抗薬投与開始前の4群の患者背景を検討したところ、N群とAm群の拡張期血圧が他の2群に比べ高かったが(各90mmHg、95mmHg)、他の背景因子(男女比、年齢、肥満度、収縮期血圧、合併症、腎機能指標、血清脂質など)に有意な差はみられなかった。

 併用降圧薬としてはARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬が使用されていた。これらのうち最も使用頻度が高かったのはARBであるが、α遮断薬を除いて併用薬の使用頻度に有意な群間差は認められなかった。

 血圧はいずれのCa拮抗薬も投与前後で収縮期血圧20mmHg以上、拡張期血圧8mmHg以上の有意な血圧低下を示し(収縮期p<0.01、拡張期p<0.05)、群間差はなかった。

 脈拍数はAz群のみで有意に減少(-5拍/分)、Am群で有意に増加したが(+4拍/分)、他の2群では有意な変化を示さなかった。

 12カ月後のCrの変化を解析した結果、C群は有意な低下(-0.04mg/dL、p=0.04)を、N群は低下傾向(-0.05 mg/dL、p=0.05)を示したが、Az群のCrは有意に上昇した(+0.03mg/dL、p=0.03)。Am群のCrに有意な変化は認められなかった。Crの変化を4群間で比較した結果、N群とC群はAz群、Am群に比べ減少傾向を示した。また、ARB併用と糖尿病合併について補正した解析を行っても、Ca拮抗薬の種類はCr変化量の寄与因子であることが明らかになった。

 12カ月後のCr換算尿中微量アルブミンは、C群で-41mg/gと有意に減少した(p=0.04)。他の3群も減少傾向を示したが、有意差はなかった。尿中アルブミンの変化量の寄与因子として、Ca拮抗薬の種類による有意差はなかった。

 以上の成績から、4種類のCa拮抗薬はいずれもすぐれた降圧効果を示したが、脈拍数および腎保護作用には違いがみられた。脈拍数の改善効果はアゼルニジピンが、Crの改善効果はシルニジピンとニフェジピンが、尿中微量アルブミンの改善効果はシルニジピンが優れている可能性が示唆された。東條氏は、高血圧患者の合併病態によってCa拮抗薬を使い分ける必要性が示唆されたと結んだ。

(日経メディカル別冊編集)