旭川医科大学の珍田純子氏

 慢性腎臓病(CKD)患者は脳卒中などの心血管病のハイリスク群であることから、CKDを管理することの重要性が指摘されている。これまで日本人のCKD患者が発症する脳卒中の病型に関する検討は行われていないため、旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野の珍田純子氏らは、同院の急性期脳卒中データベースに基づいてCKDの有無と脳卒中病型の関連性について検討し、その結果を10月15日から福岡市で開催された第33回日本高血圧学会で報告した。

 対象は、2006年3月から2010年2月までに、同院に緊急入院した脳卒中患者470例(男性251例、女性219例)。

 患者背景は、平均年齢70歳、推算糸球体濾過量(eGFR)73mL/min/1.73m2、合併症の保有率は高血圧が54.3%、糖尿病が20.0%、脂質異常症が16.2%、心房細動が20.0%で、心血管病の既往は24.5%に認められた。

 脳卒中の発症病型は、心原性脳塞栓症129例(27.4%)、脳出血104例(22.1%)、ラクナ梗塞40例(8.5%)、くも膜下出血41例(8.7%)、一過性脳虚血発作17例(3.6%)、アテローム血栓症30例(6.4%)、分類不能脳梗塞90例(19.1%)であった。

 次に対象者をCKD有無別に分類した結果、eGFRが60mL/min/1.73m2未満のCKD患者(ステージIII以上)は140例(29.8%)、非CKD例は330例であった。

 CKD群と非CKD群の背景を比較すると、CKD群は非CKD群に比べて、有意に高齢で(75.8歳vs 68.4歳)、心房細動の保有率(31.4% vs 15.1%)、心血管疾患の既往率(37.9% vs 18.8%)がそれぞれ有意に高かった。高血圧の保有率はCKD群で高い傾向があったが、有意差は認められなかった(57.9% vs 53.0%)。

 非CKD群では脳卒中病型のうち、一過性脳虚血発作、ラクナ梗塞、くも膜下出血の頻度が高かった。一方CKD群では心原性脳塞栓症の頻度が有意に高く(34.3% vs 24.5%)、くも膜下出血の頻度が有意に低かった(3.6% vs 10.9%)。また、CKDステージIV/Vではアテローム血栓症、脳出血の頻度も上昇した。

 これまでにもCKD患者では高齢者が多く、心原性脳塞栓症の頻度が高いことが報告されており、今回の珍田氏らの検討でも、CKD群では心房細動の保有率が高く、そのため心原性脳塞栓症の頻度が高いと考えられる結果が得られた。心房細動は厳格な血圧コントロールによって抑制できると考えられるが、CKD患者は体液貯留傾向にあり、血圧コントロールが難しいことが、心房細動の保有率の高さにつながっていると考えられた。

 以上の検討から珍田氏は、CKD患者の脳卒中を予防するためには、厳格な降圧に加えて、心房細動の発症を抑制することが重要であると結論した。

(日経メディカル別冊編集)