首里城下町クリニック(沖縄県那覇市)の田名毅氏

 Ca拮抗薬は高血圧治療の第一選択薬として広く使用されているが、副作用として下肢浮腫が出現することが治療の制約要因となることがある。Ca拮抗薬の多くはL型Caチャネル遮断を主作用として細動脈の強い拡張効果を示すが、細静脈は拡張せず、浮腫をきたしやすい。これに対しN型Caチャネルも遮断するシルニジピンは細動脈だけでなく細静脈も拡張させる効果を持つことが報告されている。首里城下町クリニック(沖縄県那覇市)の田名毅氏らはこの点に着目し、高血圧患者に投与されているL型Ca拮抗薬をシルニジピンへ変更して下肢浮腫に及ぼす影響を検討した結果を、10月15日から福岡市で開催された第33回日本高血圧学会総会で報告した。

 対象はL型Ca拮抗薬で治療中に下肢浮腫をきたした高血圧患者26例(平均年齢74歳、女性18例)。合併症として糖尿病が8例、肥満が20例、慢性腎臓病(CKD)が14例(うち6例が蛋白尿陽性)に認める比較的ハイリスクの患者だった。変更前に投与されていたCa拮抗薬はアムロジピン(17例)、ニフェジピンCR(7例)、アゼルニジピン(2例)で、これらをL/N型Ca拮抗薬シルニジピンに変更し、下肢浮腫の変化を観察した。

 シルニジピンへの変更前における平均血圧は132.5/68.5mmHg、変更後は132.8/68.2mmHgであり、変更前後で差はみられなかった。浮腫に影響を及ぼすと考えられる腎機能の指標である血清クレアチニン濃度、推定糸球体濾過量(eGFR)、尿蛋白にも有意な変化は認められなかった(16例の蛋白尿は変更前後とも陰性)。

 シルニジピンへの変更後、下肢浮腫は26例中18例(69.2%)で改善、そのうち14例は変更後4週以内に改善が認められた。浮腫の程度が不変と判定されたのは7例、悪化したのは1例であった。

 不変と判定された7例中臨床データの解析が可能であった6例中5例で変更後に血圧が上昇していた。6例全体でみた収縮期血圧平均値の上昇度は9.9mmHgであった。浮腫が悪化した1例は、血清クレアチニン濃度が、3.30mg/dLから4.87mg/dLと上昇しており、腎障害の進行が悪影響を及ぼしたと考えられた。

 この研究はL型Ca拮抗薬からL/N型Ca拮抗薬への変更により下肢浮腫が抑制されることを示した。田名氏はCa拮抗薬はすぐれた降圧効果があるとする一方で、下肢浮腫が患者のquality of life(QOL)を著しく低下させることを強調し、Ca拮抗薬投与中に下肢浮腫が出現した場合は、シルニジピンへの変更が有効であると述べた。

(日経メディカル別冊編集)