古井医院(愛知県豊田市)の古井宏彦氏

 Ca拮抗薬シルニジピンはL/N型Caチャネルをブロックすることにより末梢血管拡張と交感神経抑制という2つの作用を示すことから、降圧効果とともに副作用の軽減も期待される。通常、1日1回5〜10mgを朝食後服用すると定められているが、古井医院(愛知県豊田市)の古井宏彦氏は実地診療において、シルニジピン5mgを朝夕の1日2回投与してその有効性を検討した成績を、10月15日から福岡市内で開催された第33回日本高血圧学会総会において報告した。この方法により多くの軽症・中等症高血圧患者を単剤で治療できること、シルニジピンが50歳以上、特に女性患者には適した降圧薬であることが明らかになったという。

 対象は外来通院により1年以上治療を継続することができた軽症・中等症の本態性高血圧患者、連続172例。古井氏は院内処方を続けており、患者の病態によって用量設定が容易なために、シルニジピン5mg錠を採用している。今回、シルニジピン1日2回、朝夕5mgを投与、その有用性を男女間の差も含めて検討した。観察中は併用薬剤の変更はおこなわなかった。

 対象患者のうち男性は47例(27.3%)、女性は125例(72.7%)であった。年齢では男女とも50歳以上の患者が80%以上を占めており、特に女性の約6割が更年期を通じた年齢層に集中していた。シルニジピン単独で治療された患者は男性34例(72.3%)、女性80例(64.0%)であり、併用例の大部分はシルニジピンと他の1剤のみの2剤併用で十分な降圧が得られた(2剤併用例:男性25.5%、女性28.8%)。

 男性患者のシルニジピン投与前の血圧は平均164.8/97.3mmHgであったが、投与後は134.2/83.2mmHgに低下した。女性患者では投与前166.2/98.4mmHgから投与後133.8/82.6mmHgに低下した。男性の心拍数は66.3拍/分から64.5拍/分に、女性のそれは68.4拍/分から65.6拍/分にいずれも減少した。更年期の女性の多くが訴えるフラッシングやほてりなどを含めた副作用発現による脱落例はなかった。

 古井氏はこうした結果から、シルニジピン5mgの1日2回投与により安定した降圧効果が得られることが明らかになったと述べた。また、主な対象が軽症・中等症高血圧患者であり、かつ女性が多く、50〜70代の年齢層が中心であったことから、シルニジピン5mgの1日2回投与は、このような背景をもつ高血圧患者の治療に適した投与法との見解を示した。特に、50歳代以降の交感神経のアンバランスが生じやすく、更年期症状に苦しむ女性にも有効な降圧剤であることが示唆されたと指摘した。

(日経メディカル別冊編集)