結核予防会第一健康相談所生活習慣予防・研究センターの奥田奈賀子氏

 昨年、大津市で開催された第32回日本高血圧学会では、ランチョンセミナー時に減塩弁当が提供され、話題となった。その際にアンケートを行い、市販弁当の味付け、減塩弁当の購入意向などを調べた結果を、結核予防会第一健康相談所生活習慣予防・研究センターの奥田奈賀子氏らが、10月15日から福岡市で開催された第33回日本高血圧学会で報告した。

 わが国の平均食塩摂取量は戦後低下してきたものの、欧米諸国に比べると未だに高い水準にあり、高血圧予防の生活習慣対策として、減塩は最も重要と考えられている。多量の塩分摂取の原因として、かつては味噌汁や漬物などの伝統的な高塩分食品の摂取が重要視されていた。しかし、近年では生活形態の変化に伴って、外食・市販加工食品の摂取機会の増大が減塩にブレーキをかけているのではないかと懸念されている。

 こうした背景の下、1食当たりの食塩量は2.5gまでという条件のみを付け、毎日献立の異なる弁当を作ってもらい、ランチョンセミナーの参加者に提供した。同時にアンケート調査を行い、職業、出身地、通常の市販弁当の味付け・味付けの変更希望、減塩弁当の味付け、減塩弁当の購入意向とその理由などについて質問した。

 調査票は3日間で2049通を回収し、有効な回答の記入のあった1947通を集計対象とした。回答者の職業は、臨床医が42.0%、研究職が21.5%、その他(薬剤師、学生、会社員など)が36.6%。また、出身地については、北海道(10.8g)が5.2%、東北(12.0g)が6.5%、関東(11.5g)が27.4%、中部(11.4g)が12.5%、近畿(10.7g)が25.3%、中国・四国(10.5g)が8.8%、九州・沖縄(10.3g)が14.2%であった(カッコ内の数値は2006年国民健康・栄養調査での食塩摂取量)。

 市販弁当の味付けに対する評価をきいたところ、「塩辛い」が54.9%、「ちょうどよい」が33.9%、「薄味だ」が11.3%で、全体の半数以上が塩辛いと回答した。塩辛いと感じている人の割合は、職業別にみると、研究職の52.9%に比べて臨床医では61.0%とやや高めで、また、出身地別にみると、北海道・東北・関東・中部の45.1〜54.0%に比べて、九州・沖縄では65.3%と高かった。また、市販弁当の味付けは減塩した方がよいとの回答は全体の82.8%にのぼった。

 前回提供された減塩弁当の味付けに関しては、「塩辛い」が0.3%、「ちょうどよい」が24.6%、「薄味だ」が75.1%と、薄味と評価した人が4分の3を占めた。しかし、このような減塩弁当が市販されたら購入するかという質問には、55.8%が購入すると回答し、その理由として88.6%がヘルシーだからと答えた。一方、購入しないと回答したのは43.3%で、その理由として91.7%が美味しくないことを理由に挙げた。
 
 また、減塩弁当に対する購入意向は研究職より臨床医で高かったことから、臨床医は減塩の必要性を日々の課題として捉えている様子がうかがえた。

 今回の調査から、参加者の半数以上が一般の市販弁当を塩辛く感じているだけでなく、8割強が減塩したほうがよいと考えており、さらに薄味であってもヘルシーだから購入するという人が多いという結果が得られた。こうした結果を踏まえて奥田氏は、「食味を改善した美味しい減塩弁当を開発することで、減塩弁当は高血圧患者を含む多くの消費者に受け入れられるのではないか」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)