宮崎医療センター病院の斉田光彦氏

 高尿酸血症は心血管疾患の独立した危険因子で、その影響は高血圧や慢性腎臓病(CKD)を合併すると強まると考えられている。高血圧とCKDの双方を合併する症例も多く、その場合は血圧や尿蛋白とともに血清尿酸値のコントロールが重要で、降圧薬もこの点を考慮して選択する必要がある。降圧薬のなかでは交感神経抑制作用をもつα遮断薬やARB製剤のロサルタンに尿酸低下作用が認められているが、Ca拮抗薬のなかにも交感神経活性を抑制するものがあり、高尿酸血症に対する有効性が期待されている。宮崎医療センター病院の斉田光彦氏らはこの問題を検討するため、CKD合併高血圧患者を対象に複数のCa拮抗薬を投与し、血清尿酸値の変化を観察した結果を、10月15日から福岡市で開催された第33回日本高血圧学会総会において報告した。

 対象は、高尿酸血症(血清尿酸値:6.0mg/dL以上)が認められたが尿酸降下薬を投与していない入院中のCKD合併高血圧患者114例(平均年齢70.8歳、男性62例)。被験者にCa拮抗薬を6ヵ月間投与し、血圧、尿蛋白、クレアチニンおよび尿酸の血中濃度と尿中排泄量を測定し、投与前後の変化を解析した。

 降圧薬未使用例に対しては、シルニジピン、アムロジピン、アゼルニジピンのいずれかを単独投与し、ARB(ロサルタンとそれ以外のARBで解析)、利尿薬、α遮断薬、β遮断薬を使用中の症例には、上記のCa拮抗薬のいずれかを追加投与した。対象者は8つの群に分かれたことになる。

 3種類のCa拮抗薬単独群(各群15例)における6カ月後時点の血圧は、いずれも投与前に比べて有意に低下していた(p<0.01)。他の降圧薬にCa拮抗薬を追加した群(全69例)においても、併用薬の種類にかかわりなく有意に低下していた(p<0.01)。Ca拮抗薬単独3群、併用5群のすべてにおいて、降圧目標達成率は85%以上に達した。

 6カ月後の尿蛋白量は、シルニジピン単独群、アゼルニジピン単独群(ともにp<0.05)、ロサルタン/Ca拮抗薬併用群、および他のARB/Ca拮抗薬併用群(ともにp<0.01)において試験開始時に比べて有意に減少、他の4群でも減少傾向を示したが有意差はなかった。

 6カ月後時点の血清尿酸値をCa拮抗薬単独群について検討したところ、シルニジピン単独群のみで投与前の7.72mg/dLから6.98mg/dLに有意に低下(p<0.01 vs 投与前値)、低下率は9.6%であった。他のCa拮抗薬を投与した群の低下率はアムロジピン群1.4%、アゼルニジピン群2.7%だった。

 利尿薬は血清尿酸値を悪化させるが、利尿薬/Ca拮抗薬併用群のみで解析したところ、シルニジピン併用例の血清尿酸値は、投与前8.34mg/dLから6カ月後7.42mg/dLへと11.6%低下していた(p<0.01)。アゼルニジピン併用例でも8.33mg/dLから7.85mg/dLへと有意に低下(p<0.05)、低下率は5.8%であった。

 斉田氏らは次に、高尿酸血症の病型と尿酸低下効果の関係を検討した。尿酸排泄低下型(尿中尿酸/クレアチニン比0.4未満)の患者ではロサルタン/Ca拮抗薬併用群の血清尿酸値の変化率が最大であり、それに次いでシルニジピン単独群が高かった。一方、尿酸産生過剰型(尿中尿酸/クレアチニン比0.6以上)の患者では、シルニジピン単独群の変化率が最も高く、次にα遮断薬/Ca拮抗薬併用群が高かった。

 また、腎機能が低下している患者(推算糸球体濾過量60mL/min/1.73m2未満)では、ロサルタン/Ca拮抗薬併用群の血清尿酸値の変化率が最も高く、次にシルニジピン単独群が高かった。腎機能が温存されている患者(同60mL/min/1.73m2以上)では、シルニジピン単独群の血清尿酸値の変化率が最も高く、次にα遮断薬/Ca拮抗薬併用群が高かった。

 斉田氏は、シルニジピンは腎機能が温存されている尿酸産生過剰型の高尿酸血症例に著効を顕したことから、比較的軽症のCKDと高尿酸血症を合併した高血圧の治療に適した降圧薬であるとの認識を示した。

(日経メディカル別冊編集)