東邦大学医療センター佐倉病院の高橋真生氏

 機能的血管障害に起因すると考えられている異型狭心症には通常Ca拮抗薬が有効とされているが、1種類のCa拮抗薬を十分量投与しても胸痛症状を訴える患者は多く、数種類のCa拮抗薬併用が必要となる。東邦大学医療センター佐倉病院の高橋真生氏らは、血管内皮機能改善作用が報告されているL/N型Caチャネル拮抗薬シルニジピンに注目し、難治性異型狭心症に対する有効性を検討した結果を、10月15日から福岡市で開催された第33回日本高血圧学会総会において報告した。

 対象は高血圧を合併しており、ジルチアゼムなどの狭心症治療薬の投与を受けたが発作が消失せず、効果不十分と判定された異型狭心症患者18例(平均年齢62.4歳、女性6例)である。全員にシルニジピンを追加投与し6カ月以上治療を継続、胸痛発作など臨床症状の変化を観察するとともに、cardio-ankle vascular index(CAVI)により評価した血管機能との関連性を検討した。CAVIは上肢と下肢で測定される脈波伝播速度(baPWV)を血圧などにより補正したもので、一定圧での血管径の変化を示すことから動脈の弾性を示す指標として用いられる。

 シルニジピンを追加投与した結果、18例中9例の患者は6カ月間、一度も狭心症発作が出現しなかった。対象患者の総胸痛発作回数(胸部痛、放散痛を含む)は、シルニジピン投与前に2.8回/月であったが、投与後6カ月後には1.7回/月へ有意に減少した(p=0.007)。胸部痛だけをみた発作回数もシルニジピン投与前後で2.6回/月から1.7回/月へ有意に減少した(p=0.012)。

 6カ月後の平均血圧は、収縮期/拡張期ともシルニジピン投与により低下したが、有意差はなかった。CAVIはシルニジピン投与前後で8.7から8.3へと有意に低下(p<0.001)、動脈の弾性が改善したことが明らかになった。
 
 高橋氏はこれらの結果について、難治性異型狭心症に対するシルニジピンの有効性を示唆するものであり、追加投与によって奏効した機序として動脈の弾性を改善するシルニジピンの作用が関係している可能性があるとの見解を示した。

(日経メディカル別冊編集)