国立病院機構九州医療センター栄養管理室の増田香織氏

 若い健常女性の食塩摂取量は、体重とは関連を認めず、食事の回数や生活環境に影響される可能性が示唆された。欠食頻度が高い人の食塩排泄量は低い傾向があったが、食塩排泄量が高い人よりも体重が軽いという訳ではなく、チョコレートやクッキーなど食塩相当量の少ない食品からエネルギーを摂取している可能性が考えられた。国立病院機構九州医療センター栄養管理室の増田香織氏が10月15日から福岡で開催された第33回日本高血圧学会で発表した。

 高血圧の発症・進展予防のために減塩は重要であり、青少年期から適正な食習慣を形成することは極めて重要である。そこで増田氏らは、若年健常女性の食塩摂取量とその規定因子について調査を行った。

 対象は、九州医療センター付属看護学校に在籍する女子学生29人(平均年齢19.4±0.8歳)。

 対象者のうち、寮に住んでいる人は17人、実家から通っている人は9人、一人暮らしの人は3人。平均身長は158±5cm(150〜167cm)、平均体重は50.3±6.0 kg(37.3〜62.4 kg)、平均BMIは20.2±2.0kg/m2(15.9〜24.4 kg/m2)、平均血圧108±9/66±7mmHgだった。

 夜間尿(8時間相当)から1日食塩排泄量を推定する減塩モニタを用いて30日間食塩排泄量の自己測定、欠食の有無や間食の有無を含めた簡単な食事内容の記録を依頼した。さらに、開始時と終了時に血圧測定とN-scanによる身体測定を行った。

 調査の結果、30日間の平均食塩排泄量は8.4±1.2 g/日(5.5〜11.4g/日)だった。寮生の食塩排泄量は8.9±1.2g/日であり、実家から通っている学生や一人暮らしの学生の食塩排泄量7.6±0.9 g/日に比べて有意に高かった(p<0.01)。

 30日の平均食塩排泄量の分布をみると、一人暮らしの人では5〜6gが1人、7〜8gが2人であり、実家から通っている人は7〜8gが5人、8〜9gが4人だった。これに対し、寮に住んでいる人は7g未満の人はおらず、7〜8gは4人、8〜9gは6人、9〜10gが3人、10〜11gが3人、11〜12gが1人と、寮生で明らかに食塩排泄量が多い傾向が見られた。

 期間中に1食以上の欠食があった日は、寮に住んでいる人は30日の調査期間中に6.7±5.1日、実家から通っている人・一人暮らしの人では、12.1±10.7日と、実家から通っている人・一人暮らしの人で多かった。

 欠食頻度と尿中食塩排泄量の関係を調べたところ、欠食した日が15日以上ある人の群では、30日の平均食塩排泄量が7.2±1.1g/日だった。一方、欠食が15日未満の群では、8.6±1.2gと、食塩排泄量は欠食が15日未満の群で有意に高かった(p<0.05)。両群に体重に差はなかった。また、食塩排泄量と体重の間に全く相関を認めなかった。

 増田氏は、寮に住んでいる人の一例(平均食塩排泄量が8.3±1.7g/日)と、平均食塩排泄量が最も少なかった一人暮らしの例(5.5±1.5g/日)の食事状況を紹介。一人暮らしの例では、30日中に17食の欠食があり、その代わりに間食としてチョコレートやクッキー、アイスクリームなどを食べていた。

 増田氏は、「若い健常女性の食塩摂取量は食事の回数や生活環境に影響される可能性が示唆された。欠食頻度が高い人の食塩排泄量は低かったが、食塩排泄量が高い人よりも体重が軽いという訳ではなく、間食としてチョコレートやクッキーなど食塩相当量の少ない食品からエネルギーを摂取している可能性が考えられる」と話した。

(日経メディカル別冊編集)