山形大学の今田恒夫氏

 高血圧は慢性腎臓病(CKD)の進展因子で、高血圧治療ガイドライン2009では、CKD患者の降圧目標値は130/80mmHg未満、蛋白尿1g/日以上の場合には125/75 mmHg未満という厳格な値を設定している。しかし、CKDは自覚症状に乏しいことから、患者の意識が高まらず、血圧コントロールが不十分である可能性がある。そこで、山形大学医学部内科学第一(循環器・呼吸・腎臓内科学)講座の今田恒夫氏らは、地域住民健診を受診した一般住民を対象に、高血圧、CKDの頻度と患者の血圧コントロール状況を横断的に検討し、その結果を福岡市で10月15日から開催された第33回日本高血圧学会で報告した。

 対象は、山形県高畠町に住む40歳以上の3114名(男性44%、平均年齢63歳、糖尿病合併率7.7%)。住民健診会場において、座位で5分間安静にした後に血圧を2回測定し、その平均値を採用した。また、高血圧受療状況を聴き取り、CKDのステージごとに検討した。

 対象者には、高血圧と診断されて降圧薬を服用している人も含んでおり、今回のデータは健診会場で測定された血圧値を基にしている。そのため、朝、降圧薬を服用してから健診会場に来た人も対象に含まれている。

 解析の結果、CKDは3114人中741人(23.8%)に見られた。その内訳はステージ1が203人、ステージ2が332人、ステージ3が198人、ステージ4/5が8人だった。

 収縮期/拡張期血圧は、CKDのない群では132/79mmHg、ステージ1では139/82mmHg、ステージ2では141/81mmHg、ステージ3では139/80mmHg、ステージ4/5では139/79mmHgだった。ステージが進んでいても血圧がそれほど高くないのは、降圧治療を受けている人が含まれているからだ。

 各群における高血圧と診断されている人の割合はそれぞれ50%、64%、75%、76%、100%で、CKDのステージの進行とともに多かった。高血圧治療を受けている人の割合もステージの進行とともに上昇したが、高血圧未治療者は各ステージともに約20%存在した。CKDのステージ4/5でも未治療高血圧の人が4割いた。

 CKDが見られた人で降圧目標を達成していたのは、ステージ1/2ではともに16%、ステージ3で19%、ステージ4/5で13%。高血圧治療を受けているCKD合併患者においても10%しか降圧目標を達成できていなかった。さらに降圧目標が低い尿蛋白2+以上の人(57人)で降圧目標を達成できていたのは7%と非常に低率だった。

 多変量解析では、CKD例の降圧目標達成に関連する因子として、年齢、ヘモグロビン値、高コレステロール血症の有無、高血圧治療の有無、推定尿Na排泄量が同定された。

 このように、地域に住むCKD患者では、CKDステージの進行とともに高血圧治療を受ける頻度は高くなるが、高血圧未治療者が各ステージともに約20%おり、高血圧治療の頻度は十分ではなかった。また、高血圧治療を受けていても80%以上が降圧目標値に達しておらず、降圧の程度も不十分だった。CKD例の降圧目標達成に関連する因子の解析からは、降圧目標を達成する上で、脂質異常症や塩分摂取など生活習慣関連因子のコントロールも重要であることが示唆された。

 今回の結果を踏まえて今田氏は、地域に住むCKD合併例の血圧コントロールを改善するためには、CKDに対する認知度のさらなる向上とともに、薬物治療をしっかりと行うとともに食事や生活習慣の改善を併用したより積極的な介入が必要であると結論した。

(日経メディカル別冊編集)