日本医科大学多摩永山病院の小谷英太郎氏

 早朝高血圧はとくに心血管イベントの発症に強く関係するといわれ、高血圧治療ガイドライン(JSH2009)も家庭血圧やABPMの測定を推奨している。また、降圧治療では24時間、安定した降圧効果を期待できる薬剤の使用が望ましいとされるが、早朝に著明な高血圧を呈する症例もあり、朝の血圧管理に有効な降圧薬や就寝前投与などが求められる。日本医科大学多摩永山病院の小谷英太郎氏らは、交感神経抑制作用をもつCa拮抗薬シルニジピンの早朝高血圧に対する有効性を家庭血圧とABPMを用いて検討した成績を、10月15日から福岡市で開催された第33回日本高血圧学会総会において報告した。

 対象は減塩または降圧薬により治療中で、降圧目標(140/90mmHg未満)を達成していない高血圧患者35例(平均年齢67.2歳、男性15例/女性20例)。そのうち、シルニジピンを降圧薬として新規投与したのは8例、他の降圧薬に追加投与したものは27例だ。また、シルニジピンをCa拮抗薬として新規投与したのは31例、他のCa拮抗薬からシルニジピンに切り替えたものは4例である。

 全例にシルニジピン5-20mg/日を朝1回投与し24週間治療を継続、20例で家庭血圧、5例でABPMによる24時間血圧の測定をおこない、降圧効果を評価した。早朝高血圧の診断には家庭血圧を用いて起床時血圧(M)と就寝前血圧(E)を測定し、収縮期血圧のME平均[(M+E)/2]が135mmHg以上またはME差[M-E]が15mmHg以上のものを早朝高血圧と定義した。

 シルニジピン投与前、投与12週後時点、24週後時点の外来随時血圧は、157/88mmHg、134/78mmHg、132/81mmHgであり、シルニジピンによる有意な低下が認められた。

 家庭血圧を測定できた20例の患者のシルニジピン投与前の平均起床時血圧は154/85mmHgであったが、4週後には141/78mmHgへ、12週後には133/77mmHgへといずれも有意に低下した。また、就寝前血圧はそれぞれ148/82mmHg、137/78mmHg、132/75mmHgであり、投与後の血圧は4週後の拡張期血圧を除きすべて有意な低下を示した。

 シルニジピン投与前は全例がME平均135mmHg以上であったが、シルニジピン投与12週後には68.8%の患者でME平均135mmHg未満を達成していた。投与後に早朝高血圧と診断された31.3%はすべてME平均135mmHg以上の患者であり、ME差が15mmHg以上の患者はいなかった。これは、心血管イベントをおこしやすいとされる夜間から早朝にかけての急激な血圧上昇(ME差)がシルニジピンにより抑制されたことを示唆しており、ABPMを測定できた5例の患者でもそれを支持するデータが得られた。

 小谷氏は以上の成績にもとづき、シルニジピンは朝1回投与であっても、24時間にわたり血圧を低下させ、その効果はとくに起床時の家庭血圧に著明であることから、早朝高血圧が認められる高血圧患者に有効であることが示唆されたと結論した。

(日経メディカル別冊編集)