朝日生命成人病研究所/べっくメディカルクリニックの高遠哲也氏

 高血圧症の罹患率は高いため、必ずしも循環器科で治療を受けているとは限らない。診療科による高血圧患者の治療遵守(アドヒアランス)状況の違いを調べた研究で、循環器科の患者は他科に比べ、家庭血圧を頻繁に測定しており、サプリメントの服用も多いなど、高血圧治療により熱心であることが示された。朝日生命成人病研究所/べっくメディカルクリニックの高遠哲也氏らが、10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された第32回日本高血圧学会総会で発表した。

 対象は、朝日生命成人病研究所附属丸の内病院(以下、A院)の循環器科、糖尿病代謝科、消化器科に通院患者4416例(平均66±11歳、男性72%)と、べっくメディカルクリニック内科(静岡県沼津市、以下B院)の通院患者325例(平均66±9歳、男性46%)とした。

 両院とも、2009年1〜3月の外来診察時、同じ形式のアンケート用紙を患者に渡し、家庭血圧計の有無、家庭血圧の測定回数、降圧薬服用の有無、降圧薬ののみ忘れ状況、サプリメントの服用状況について、診療終了後に記入・提出してもらった。

 高血圧患者の家庭血圧計保有率は、A院循環器科の患者が最も高くて95%、次いでB院の91%、A院消化器科の86%、同糖尿病代謝科の83%だった。A院循環器科患者の保有率は、同院他科とB院に対し、有意に高かった(いずれもp<0.01)。

 さらに家庭血圧計を保有している高血圧患者のうち、「家庭血圧を毎日測定する」と答えたのは、A院消化器科が53%と最も多く、B院が46%、A院循環器科46%、A院糖尿病代謝科37%の順で、A院循環器科(p<0.001)とB院(p<0.01)は、A院糖尿病代謝科に対して有意に高率だった。

 降圧薬服用者で、降圧薬を週1回以上のみ忘れる患者の比率を調べたところ、A院循環器科が8.0%、同院糖尿病代謝科が9.6%、B院が8.1%だったのに対して、A院消化器科は18%で、A院循環器科(p<0.01)、およびB院(p<0.05)に対し、有意に高かった。

 降圧薬服用者におけるサプリメント服用の頻度は、A院循環器科が31%と最も高く、以下、B院(29%)、A院消化器科(25%)、同院糖尿病代謝科(24%)の順だった。A院循環器科と同院糖尿病代謝科の間には有意差が認められた(p<0.001)。

 降圧薬服用アドヒアランスと血圧の関連を調べたところ、A院循環器科では収縮期血圧(p<0.04)、拡張期血圧(p<0.04)とも、服薬遵守者の方が有意に低かった。他科でもおおむね同様の傾向がみられた。

 これらの結果から高遠氏は、循環器科の高血圧患者は、家庭血圧測定や服薬を含む高血圧治療に積極的であることが示唆されたとした。