東北大学大学院臨床薬学分野の今井潤氏

 アンジオテンシン2受容体拮抗薬ARB)単剤治療中の本態性高血圧患者のうち、通常用量では目標血圧に達しない症例では、ARBを最大用量まで増量するよりも、ロサルタンと少量利尿薬の合剤に切り替える方が、高い降圧効果を得られることが示された。家庭血圧だけでなく、予後予測能に優れると近年注目を集める中心血圧脈波から推定する大動脈起始部の血圧)についても、合剤の降圧効果が大きかった。多施設共同の無作為化オープン試験「J-HOME AI」の研究成果で、10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された第32回日本高血圧学会総会で、東北大学大学院臨床薬学分野の今井潤氏が発表した。

 対象は、ARB単剤治療中で家庭収縮期血圧が135mmHg以上のコントロール不良な本態性高血圧患者。対象者は少なくとも4週間以上、通常用量のARB単剤治療を受けていた(ロサルタン50mg、カンデサルタン8mg、バルサルタン80mg、テルミサルタン40mg、オルメサルタン20mg)。80歳未満の成人で26施設の221例を解析対象とした。

 各ARBを最大用量(上記それぞれ、100mg、12mg、160mg、80mg、40mg)用いる群(最大用量群)と、ロサルタンと少量利尿薬の合剤(1錠中ロサルタン50mg、ヒドロクロロチアジド12.5mg、商品名:プレミネント)に切り替える群(合剤群)に無作為に分け、8週間観察した。

 その結果、最大用量群に比べて合剤群では、早朝家庭血圧が、収縮期で5.2mmHg(p=0.003)、拡張期で2.0mmHg(p=0.03)降圧効果が高かった。中心血圧については、有意ではないものの10.7mmHgの差がついた(p=0.07)。

 なお、心臓への負荷や動脈の硬さの指標となるAI値Augmentation Index:脈波の駆出波と反射波の比)については、有意差はないものの、最大用量群で合剤群より大きく減少する傾向がみられた。

 この点について今井氏は、「AI値に関しては、合剤群よりも最大用量群の有効性が高い可能性を示唆している。逆の見方をすれば、合剤群はAI値の減少作用が弱いことを凌駕して中心血圧を下げる作用があるということだ」と述べた。

 本研究の限界としては、ARBの中等用量に反応した患者が除外されていること、観察期間が8週間と十分ではないこと、致死性や非致死性の脳心血管イベントの減少効果についての検討が必要であることなどが挙げられた。