札幌医科大学内科学第二講座の赤坂憲氏

 女性の心血管疾患を予測する腹囲径は80cm――。住民健診の受診者を約11年追跡した前向き調査の結果について、10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された第32回日本高血圧学会総会で、札幌医科大学内科学第二講座の赤坂憲氏が発表した。メタボリックシンドローム(MetS)の診断基準のうち、女性の「腹囲90cm以上」については、いまだに議論が分かれるところだ。

 赤坂氏らは、1994年8月に北海道端野町と壮瞥町で住民健診を受診した女性のうち、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心血管疾患を治療中の者を除外した840例を対象とした。初年度の平均年齢は56±12歳、平均追跡期間は134カ月(約11年)、エントリー時にMetSと診断されたのは1.5%だった。追跡期間中、72例(8.6%)が心血管疾患(冠動脈疾患35例、心原性突然死1例、脳卒中36例)を発症した。

 MetSの該当者には心血管疾患の発症が多かったものの、交絡因子(年齢、喫煙の有無、総コレステロール値)で補正したCoxハザードモデルでは、ハザード比3.28(95%信頼区間:0.08-8.93)と、95%信頼区間が1をまたぎ、有意差はなかった。

 そこで、腹囲と心血管疾患の発症についてROC曲線を用いて解析したところ、感度、特異度は腹囲80cmで最大になった。そこで、腹囲の基準を80cmとして解析してみると、交絡因子で補正後も、ハザード比2.31(95%信頼区間:1.06-4.51)となり、MetSは心血管疾患の発症と有意に相関した(p<0.05)。

 赤坂氏は、「女性の場合、心血管疾患の発症に最も影響していたのが低HDL、次に高中性脂肪で、腹囲は他の危険因子よりも意義が低いのではないかと考える」ともコメントした。