滋賀医科大学内分泌代謝・腎臓・神経内科の宇津貴氏

 慢性腎臓病CKD)を合併した高血圧に対しては、レニン・アンジオテンシン系RAS)抑制薬を第一選択薬とする厳格な血圧管理が推奨されている。しかし、RAS抑制薬だけでCKD患者の降圧目標を達成するのは困難で、利尿薬Ca拮抗薬の併用を必要とすることが多い。また、腎機能障害は血圧の上昇を伴うだけでなく、その日内変動にも夜間降圧障害早朝高血圧などの異常をきたすことが知られており、降圧薬の選択においては、血圧日内変動を是正するか否かも問題になる。

 滋賀医科大学内分泌代謝・腎臓・神経内科の宇津貴氏らはこのような観点から、RAS抑制薬とL/N型Ca拮抗薬シルニジピンによる併用療法の降圧効果と血圧日内変動に及ぼす影響を検討し、同療法が早朝高血圧および尿蛋白/クレアチニン比を有意に改善したことを明らかにし、10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された第32回日本高血圧学会総会で発表した。

 対象は、アンジオテンシン2受容体拮抗薬ARB)またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬による治療中で、降圧目標(130/80mmHg未満)に達していないCKD合併高血圧患者12例。投与中のRAS抑制薬にシルニジピンを追加投与し、治療を24週間継続した。シルニジピンの投与量は10mg/日で開始し、降圧不十分な場合は20mg/日まで増量した。有効性は、シルニジピン投与前後に診察室血圧と24時間血圧、尿蛋白/クレアチニン比などを測定し、それらの変化により評価した。

 治療により、診察時血圧は148±9/87±6mmHgから141±11/80±8mmHgに低下した(収縮期血圧:p=0.02、拡張期血圧:p=0.04)。24時間血圧(平均値)は133±15/80±10mmHgから127±16/77±9mmHgに低下した(収縮期血圧:p<0.01、拡張期血圧:p=0.05)。

 治療による24時間収縮期血圧の変化を日中、夜間、早朝に分けて検討したところ、各項目とも血圧は低下しており、日中と早朝では有意差が認められた。また心血管系イベントの発生頻度が高いとされる早朝の降圧度が最大であった(収縮期血圧146±16mmHgから136±18mmHg、p=0.01)。腎障害の指標として測定した尿蛋白/クレアチニン比は、0.72±0.55g/gCrから0.54±0.46へと有意に低下した(p=0.01)。
 
 以上の成績から、CKD合併高血圧患者の治療においてRAS抑制薬にシルニジピンを併用すると、24時間の降圧効果が改善し、早朝高血圧が是正されるとともに尿蛋白が減少することが明らかになった。宇津氏はこれらの結果から、シルニジピンはCKD患者の腎・心血管保護に有用と考えられると述べた。