高知大学医学部検査部の山崎文靖氏

 すぐに血圧を測りたいのに患者の服は長袖――。そんなとき、袖の上からカフを巻いて測定するケースは、日常診療にありがちだ。では、どのくらいの厚さの服までなら、正確な血圧が測れるのか。高知大学医学部検査部の山崎文靖氏は、患者が身につける衣服の種類や厚みが血圧測定値に及ぼす影響について、10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された第32回日本高血圧学会総会で発表した。

 山崎氏らが対象としたのは、健常ボランティア31人(男性20人、女性11人、平均38±8歳)。ゆったりした安静臥位で両上腕にカフを着けて同時に圧をかけ、約3mmHg/秒で減圧、上腕動脈音は膜型聴診器と小型マイクで記録した。

 右腕に着けたカフの内側には、以下の厚みの布を巻き込んで測定し、左腕の測定値をコントロール値として、布(衣服)の影響をみた。血圧の左右差は、布を巻き込まずに測定した値で補正した。
 0.2mm厚のシャツ
 1mm厚のトレーナー
 2mm厚のニット+0.2mm厚のシャツ(ニット薄)
 4mm厚のニット+0.2mm厚のシャツ(ニット中)
 7mm厚のニット0.2mm厚のシャツ(ニット厚)
 なお、ニットは地肌に直接身につけるケースが少ないことから、シャツと組み合わせた。

 膜型聴診器を皮膚に密着させて測定した場合、左右の測定値の差(mmHg)は上記5パターンの順に、収縮期血圧で0.9±3.2、0.2±2.9、0.8±3.0、3.4±3.8、4.9±2.7で、ニット中とニット厚はコントロール値に対して有意に高い血圧値となった。膜型聴診器を布の上から当てた場合は、ニット薄とニット厚で有意差が出た。ニット中で有意差がなかったのは「布の厚みでコロトコフ音が聞き取りにくかった影響が出た可能性がある」と山崎氏は分析する。拡張期血圧については、膜型聴診器の位置にかかわらず、ニット薄、ニット中、ニット厚で有意差があった。

 以上のように、上腕でカフを用いた血圧測定を行う場合、ニット生地以上の厚みの服の上からでは、有意に測定値が高く出ることが分かった。