東北大学大学院臨床薬学分野の菅野厚博氏

 日本を代表する大規模地域コホート研究である大迫町研究久山町研究から、仮面高血圧白衣高血圧が、慢性腎臓病CKD)をはじめとする臓器障害に関連することが、10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された第32回日本高血圧学会総会で報告された。

 大迫町研究からは、CKDの発症リスクとの関連について東北大学大学院臨床薬学分野の菅野厚博氏(写真1)らが発表した。対象は、岩手県花巻市大迫町で24時間自由行動下血圧の測定を含む健診を受けた1023例(平均年齢65歳前後)。昼間自由行動下血圧随時血圧でのそれぞれの基準を用いて、対象者を持続高血圧仮面高血圧白衣高血圧正常血圧の4群に分けた。蛋白尿陽性、推定糸球体ろ過率eGFR)が60mL/min/1.73m2未満の少なくとも1つを満たす場合をCKDとした。

 その結果、CKDの有病率は16%だった。正常血圧群に比べたCKDの有病リスクは、持続高血圧群で2.81、仮面高血圧群で2.29、白衣高血圧群で1.67と、いずれの高血圧群でも有意に高かった。

九州大学大学院環境医学分野の福原正代氏

 久山町研究からは、家庭血圧と臓器障害の関連について九州大学大学院環境医学分野の福原正代氏(写真2)らが発表した。2007年に福岡県久山町で行った循環器健診受診者のうち、朝の家庭血圧の測定データがある40歳以上の2993例を対象としている。健診時に測定した随時血圧と家庭血圧で、大迫町の研究と同様に対象者を4群に分けた。臓器障害は、心電図異常(左室肥大ST上昇心房細動)、脳卒中虚血性心疾患の既往、大迫町の研究と同様の基準によるCKDを有する場合とした。

 血圧分類別の臓器障害のオッズ比は、性、年齢、BMI、血清総コレステロール値、飲酒、運動、喫煙といった多変量で調整したところ、正常血圧群に比して持続高血圧群で2.0、仮面高血圧群で1.6、白衣高血圧群で1.5と、いずれも有意に高かった。

 大迫町、久山町の両研究から、仮面高血圧だけでなく、白衣高血圧も臓器障害合併のリスク要因になることが分かった。