2008年4月に発足したばかりの高血圧専門医制度。同年度内に218人が高血圧専門医として認定された。今年度は1回目の試験で134人が合格、このほど行われた2回目の試験では約60人の合格者が出る見込みで、累計では400人を超えた。日本高血圧学会の会員数は約3500人なので、1割強が専門医の資格を得たことになる。10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された第32回日本高血圧学会総会の特別企画「高血圧専門医・FJSH」で、同学会専門医制度委員会が明らかにした。

 高血圧治療ガイドラインには、「何かあったら専門医に紹介を」と書かれているが、資格制度がなかったため、高血圧専門医は長らく不在だった。400人超になったとはいえ、日本には4000万人もの高血圧患者が存在するため、「まだまだ増えていい」と、専門医制度委員会委員長の梅村敏氏(横浜市立大学大学院病態制御内科学)は話す。

 現在、高血圧専門医は広告可能な資格ではない。広告が可能になれば、専門医取得の大きな動機付けになると考えられる。梅村氏は「現在、広告可能な専門医の資格は約50あり、新規に認められるのはなかなか難しいとされるが、専門医制度の評価基準をクリアして、広告可能なものにしていきたい」(梅村氏)という。

 また、専門医を増やすための大きな課題となるのが「認定施設指導医の不足」と指摘するのは、施設・指導医認定小委員会委員長の松原弘明氏(京都府立医科大学大学院循環器内科学)。2009年8月現在、全国の認定施設は183施設、指導医は380人となっている。

 過渡的な措置として、指導医については学会の評議員やFJSH(特別正会員)などに依頼し、指導医が在籍する研修可能な施設を高血圧専門医認定施設として認定していくという。「認定施設が1施設しかない県が20もある。年内には各県3施設にまで増やしたい」と松原氏はいう。

 この過渡的措置は2012年3月まで。以降の指導医認定基準は、(1)認定施設に勤務する高血圧専門医(5年以上継続して高血圧学会会員)、(2)業績目録:高血圧疾患臨床に関する論文アブストラクトまたは学会発表が5年間で5編以上、うち1編は論文発表、(3)5年に1回の更新――となる。

 これに対してフロアからは、「地域性にも考慮してほしい。学会に参加し続けるだけでも大変なのに5年に5編は厳しい。それで更新できなくなると指導医が減り、専門医も増えない。こうした悪循環にならないような配慮を」との声も上がった。この質問に対しては、「認定施設が増えるまでは、指導医認定には柔軟な対応を考えていく」(松原氏)としていた。