京都薬科大学臨床薬理学の東條千里氏

 高血圧ラットを用いてシルニジピンの効果を検討した研究で、同剤が蛋白尿クレアチニンクリアランスCcr)の悪化を抑制したことが明らかになった。その効果には交感神経活性の抑制、腎レニン・アンジオテンシン・アルドステロンRAA)系の活性低下が関与している可能性が示唆された。京都薬科大学臨床薬理学の東條千里氏らの研究成果で、10月1日から3日に滋賀県大津で開催された第32回日本高血圧学会総会で発表された。

 L/N型Ca拮抗薬シルニジピンは、顕性蛋白尿を合併した高血圧患者の尿蛋白を、L型Ca拮抗薬に比べて有意に低下させることが報告されている。L/N型Ca拮抗薬はL型Caチャネル阻害による血管拡張作用に加え、交感神経終末のN型Caチャネルを遮断してノルエピネフリン分泌を抑制し、交感神経活性の亢進をきたすことなく降圧作用を発揮するとされるが、臨床研究で示されたシルニジピンの腎保護作用の機序はまだ明らかでない。

 東條氏らは、片腎摘出の1週後からDOCA(40mg/kg/週、皮下注)と1%食塩水を4週間投与して高血圧ラットを作成した。そのDOCA食塩負荷高血圧ラットを同期間中に、シルニジピン投与(1mg/kg/日)、アムロジピン投与(1mg/kg/日)、薬剤非投与の3群に分け、血圧、尿中蛋白排泄量、尿中ノルエピネフリン排泄量、CCr、血清クレアチニン、血中尿素窒素、腎組織におけるアンジオテンシン転換酵素(ACE)の活性および発現量、アルドステロン濃度などの変化を比較した。

 DOCA食塩負荷は片腎摘出ラットの血圧を経時的に上昇させたが、シルニジピンとアムロジピンは共に血圧上昇を有意に抑制した。両薬剤の降圧効果は同等だった。尿中蛋白排泄量はDOCA食塩負荷により著明に上昇したが、シルニジピンはこれを有意に抑制した。一方、アムロジピンは尿蛋白をほとんど減少させなかった。

 CCr、血清クレアチニン、血中尿素窒素もDOCA食塩負荷により著明に悪化したが、シルニジピンがこれらすべてを有意に改善したのに対し、アムロジピンが有意な抑制効果を示したのは血清クレアチニンの上昇だけだった。

 また、DOCA食塩負荷により尿中ノルエピネフリン排泄量は著明に上昇したが、シルニジピンのみがこれを有意に抑制した。DOCA食塩負荷は腎組織内におけるACEの活性と発現量、アルドステロン濃度を著明に上昇させたが、これらの変化もシルニジピンにより有意に抑制されたが、アムロジピンによる変化は認められなかった。

 東條氏は以上の成績にもとづき、L/N型Ca拮抗薬シルニジピンは交感神経系と腎レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を抑制し、DOCA食塩負荷高血圧ラットの腎障害を抑制するとの見解を示した。