東北大学大学院臨床薬学分野の小原拓氏

 日本高血圧学会が5年ぶりに改訂して今年1月に公表した高血圧治療ガイドライン「JSH2009ガイドライン」について、9割の医師がその存在を認知し、4割はすでに読んでいるというアンケート調査結果が明らかになった。10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された第32回日本高血圧学会総会で、東北大学大学院臨床薬学分野の小原拓氏が発表した。

 調査は、今年1月から5月に国内で開催された高血圧学術講演会に参加した医師、計1万2306人を対象に自記式アンケートを行い、6726人から有効回答を得た。このうち1回目集計分(5946人分)を解析している。回答者は9割が男性で、40〜50代が5割超、ほぼ半数が開業医で8割が内科系だった。

 JSH2009ガイドラインの公表を知っていたのは87.9%で、37.7%が「入手して読んだ」と答えている。 改訂前のJSH2004ガイドラインについても尋ねたところ、認知率は95.3%と高く、「臨床に応用している」との回答は実に91.5%を占めた。JSH2004ガイドラインのさらに1世代前のJSH2000ガイドラインについて同様に聞いた2004年時点の調査では、「JSH2000ガイドラインを臨床に応用している」との回答は68.9%だったことから、この5年間に、「ガイドラインに準拠した治療」を導入する動きがさらに加速したことになる。

 一方、ガイドラインを知らない、ガイドラインの推奨に従っていないという回答は、病院勤務医、内科系以外の医師、40歳未満の医師、に多い傾向がみられた。
 
 高血圧の重症度と血圧以外のリスク要因(喫煙、脂質代謝異常、糖尿病、臓器障害、心血管病など)によってリスクを分けた「リスクの層別化」についても尋ねた。JSH2004ガイドラインのリスク層別化については、診察に応用しているとの回答が69%を占めたものの、13%は「知っているが診療上考慮していない」と回答した。否定的な回答は、内科系以外の医師や、ガイドラインを見聞きした程度の医師に多かったという。

 「ガイドラインを知らない」「知っていても考慮しない」と答えた医師への普及活動について小原氏は、「ガイドラインの記載の簡略化や臨床現場で使いやすいハンドブックの配布などを考えたい」と述べた。