二次性高血圧である原発性アルドステロン症PA)の一次スクリーニングを健康診断受診者に行ってみると、全受診者の5%が陽性となる。きわめてまれな病態という認識が覆されつつあるPAだが、一般の健診受診者で調べても頻度は決して低くないとする調査結果を、慶應大腎臓内分泌代謝内科の柴田洋孝氏が、札幌で開催された第31回日本高血圧学会JSH2008)で報告した。

 PAは副腎皮質に生じた腺腫からアルドステロンが過剰分泌され、重症で治療抵抗性の高血圧や低カリウム血症、代謝性アルカローシスなどを合併するとされる病態。きわめてまれな病態とされてきたが、高血圧患者の5〜15%を占めるという報告が近年相次いでいる。さらに、PAでは本態性高血圧よりも心血管リスクが高くなることが知られ、副腎切除術などの治療で降圧が実現できる症例も多いことから、スクリーニングの必要性が指摘されている。

 正常血圧者における頻度の報告はないことから、柴田氏らは一般健診受診者のデータを収集。2005年度にA施設で定期健診を受診した947人(健診A、男性463人、女性484人)と2006年度にB施設で定期健診を受診した449人(健診B、男性342人、女性107人)を対象に、PAの一次スクリーニングに用いる血漿アルドステロン濃度PAC)とアルドステロン/レニン比ARR)を調べた。

 ARRの算出に使うレニンの値については、血漿レニン活性(PRA)ではなく、レニンの分泌状態をより反映するとされる血漿活性レニン濃度(ARC)を使用。PRAとARCの相関を検証した上で、ARRとして、PAC/ARCのカットオフ値を40以上とした(PAC/PRAのカットオフ値は200以上)。

 その結果、PAスクリーニング陽性(PAC>150pg/mL、ARR>40)となったのは、健診Aで42人(4.4%)、健診Bで24人(5.3%)だった。正常血圧者(SBP<130mmHgかつDBP<85mmHg、降圧薬非内服)に限ると、PAスクリーニング陽性は健診Aで566人中22人(3.9%)、健診Bで324人中12人(3.7%)だった。

 高血圧者(SBP≧130mmHg、DBP≧85mmHg、降圧薬内服のいずれか)では、PAスクリーニング陽性は健診Aで381人中20人(5.2%)、健診Bで125人中12人(9.6%)となり、正常血圧者より頻度は高くなった。また、PAスクリーニング陽性の場合、陰性に比べて左室肥大、蛋白尿が有意に多く、重症度の高さが改めて示唆された。

 PAに対する認知度は内分泌科医ではない医師の間でも上がっており、「PA疑いとして紹介されてくる患者は現在週5人程度。ペースは年々増えてきている」(柴田氏)という。今回の報告はPAスクリーニングの必要性をさらにアピールするものとなりそうだ。