愛媛大学大学院病院情報内科学の是澤光子氏

 動脈硬化のスクリーニングとして頸動脈エコーを行う機会が増えているが、施行時には甲状腺にも目を配った方がよさそうだ。400人超の頸動脈エコー受診者に対して甲状腺観察を行った新たな研究で、実に約3割に何らかの甲状腺所見があり、悪性または悪性を否定できない症例が1.2%あった。愛媛大学大学院病院情報内科学の是澤光子氏(写真)らの研究で、札幌でこのほど開催された第31回日本高血圧学会(JSH2008)のポスターセッションで10月11日に発表した。

 是澤氏らは、2006年12月から2008年3月までに同科で頸動脈エコー検査を施行した連続417人(男性242人、女性175人)を対象とした。期間中に複数回の検査を受けた場合は初回の検査所見を検討した。

 対象者は平均63±13歳、全体の67.3%に当たる281人が本態性高血圧だった。頸動脈エコーは、動脈硬化のスクリーニング目的が72.7%(303人)と大部分で、以下、経過観察19.9%(83人)、術前検査7.4%(31人)の順だった。

 対象者の29.9%(125人)で、甲状腺に何らかの所見が認められた。有所見者のうち、所見が既知だったのは16.8%(21人)にすぎず、83.2%(104人)は今回、初めて指摘された。なお、有所見者のうち本態性高血圧患者は65%で、全体の患者背景と大きな差はなかった。

 初めて所見を指摘された患者の病変は、びまん性が45.1%(47人)と最も多く、嚢胞性36.2%(38人)、結節性・石灰化18.6%(19人)の順だった。

 有所見者のうち、石灰化と腫瘤径10mm以上のいずれか、または両方がある患者19人を専門医に照会したところ、悪性腫瘍が3人、悪性を否定できない症例が2人、専門医による観察を要するとされた者が13人、異常なしが1人と診断され、悪性または悪性を否定できない症例が、全対象者の1.2%(5人)にのぼった。

 是澤氏らはこれらの結果から、頸動脈エコーを実施する際は、甲状腺疾患の存在を疑って観察すべきだと結論付けていた。