天理よろづ相談所病院内分泌内科の田中正巳氏

 Ca拮抗薬は腎保護の面ではAII受容体拮抗薬ACE阻害薬に劣るとの報告が多いが、L/N型Ca拮抗薬であるシルニジピンは、優れた腎保護効果を有することが報告されている。天理よろづ相談所病院内分泌内科の田中正巳氏(写真)は、10月9日から11日まで札幌市で開催された第31回日本高血圧学会総会のポスターセッションにおいて、他のCa拮抗薬からシルニジピンへの切り替え例での検討から、シルニジピンは交感神経活性の抑制を介して腎保護作用を発揮している可能性を指摘した。

 本検討の対象は、尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)が10〜300mg/gCrの2型糖尿病患者25例(平均年齢67.5±8.8歳、男性11例)である。シルニジピンへの切り替え前に使用していたCa拮抗薬は、アムロジピン10例、ペニジピン8例、アゼルニジピン3例、ニフェジピン、バルニジピン、マニジピン、エフォニジピン各1例であった。

 田中氏らは、これらのCa拮抗薬をシルニジピンに変更した上で、変更前と変更3カ月後の血圧、腎機能、体重、肝機能、糖代謝、脂質代謝、尿酸、電解質等のパラメータを比較するとともに、交感神経活性の指標として心拍数の比較を行った。

 その結果、シルニジピンへの切り替えにより収縮期血圧は144.8mmHgから140.3mmHgへ、拡張期血圧は76.2mmHgから72.9mmHgへと若干低下したが、その差は有意ではなかった(それぞれp=0.067、p=0.069)。一方、心拍数は73.9拍/分から72.0拍/分へと有意に減少した(p<0.05)。

 これに伴い、ACRも切り替え前の82.9%にまで減少し(p=0.0053)、ACRと心拍数の変化率(減少率)の間には有意な正の相関が認められた(r=0.521、p=0.018)。それ以外のパラメータ(体重、肝機能、糖代謝、脂質代謝、尿酸、電解質)には有意な変化は認められなかった。

 以上より、シルニジピンは他のCa拮抗薬に比して尿中アルブミンを有意に減少させることが確認されるとともに、その効果は血圧の変化に依存したものではなく、心拍数の減少と相関することが明らかとなった。田中氏は、「シルニジピンの腎保護作用は交感神経活性の抑制を介して発揮される可能性がある」と結論。L型チャネルのみならずN型チャネルへの抑制作用をも併せ持つ同剤への期待を示した。

(宇田川久美子=メディカルライター)