久留米大医学部の榎本美佳氏

 LDL-C/HDL-C比LDL-CあるいはHDL-C単独よりも動脈硬化の進展を精密に予知する因子であることが報告された。一般住民の検診結果から明らかになったもので、久留米大医学部榎本美佳氏(写真)らが10月11日、札幌市で開かれていた第31回日本高血圧学会総会で発表した。

 LDL-C/HDL-C比が心血管イベントの予知因子として重要であることが注目を集めていることから、榎本氏らは、動脈硬化の進展とLDL-C/HDL-C比の関連を検討した。

 対象は1999年に福岡県久留米市で行った一般住民検診を受信した40歳以上の1920人。男性は794人、女性は1126人だった。検診時に空腹時HDL-C、LDL-Cをはじめとする血液検査および一般化学検査を行い、さらに頸動脈超音波検査で内膜・中膜厚(IMT)を計測した。さらに、約8年後に予後調査を実施した際にもIMTを計測した。

 LDL-C/HDL-C比とIMTの変化率(フォローアップIMT/ベースラインIMT×100)との関連性を検討した結果、年齢や性で調整後の重回帰分析では、IMTとHDL-Cが有意(p<0.0001)に負の関連を認め、総コレステロールとLDL-Cがそれぞれ正の有意な関連を認めた(p=0.016とp<0.0001)。中でもLDL-C/HDL-C比は、最も強い正の関連を示していた。

 また、8年間のIMT変化率と各指標との関連をみたところ、LDL-C単独では有意な関連を認めなかった(p=0.07)。ただし、HDL-Cは有意(p=0.03)に負の関連を示し、一方でLDL-C/HDL-C比は、有意(p=0.016)に正の関連を認めた。

 さらにLDL-C/HDL-C比を4分位に分け、年齢や性、ベースラインでのIMTなどで補正した後で共分散分析を行った結果、LDL-C/HDL-C比が高くなるほどIMTが有意(p=0.016)に進展することが明らかになった。

 これらの結果から榎本氏らは、「LDL-C/HDL-C比は動脈硬化の進展を精密に予知する因子である」と結論した。冠動脈疾患の新たな指標として注目されているLDL-C/HDL-C比は、動脈硬化の進展においても重要であることが示された。