坂出市立病院内科の大工原裕之氏

 2型糖尿病合併高血圧で降圧が不十分な症例において、ARBをARB/利尿剤合剤に変更して治療を継続したところ、64%が降圧目標を達成できたことが報告された。150例を対象にした観察研究の成果で、坂出市立病院内科の大工原裕之氏(写真)らが10月9日から11日まで札幌市で開催された第31回日本高血圧学会総会で発表した。

 2型糖尿病合併高血圧の患者は通常、5、6種類以上の薬を処方されていることが多い。大工原らは、1剤でも減らすことが服薬コンプライアンスを改善し、かつ患者の経済的な負担の軽減にもつながるのではと考え、ARB/利尿剤合剤の効果を検討した。

 対象は同病院に外来通院中の2型糖尿病合併高血圧の患者で、管理栄養士による減塩を核とした食事療法の指導のもとでARBを含む降圧治療を実施したにも関わらず、高血圧治療ガイドライン(JSH2004)が定めた降圧目標(収縮期/拡張期血圧<130/80mmHg)に達していなかった150例(男性77人、女性73人)。

 ARBをARB/利尿剤合剤に変更し、その他の降圧薬はそのまま継続し、16週間にわたり血圧の変化を観察した。変更前のARBは、ロサルタン50mgが32例、カンデサルタン8mgが30例、バルサルタン80mgが28例、テルミサルタン40mgが30例、オルメサルタン20mgが30例だった。

 ARB通常用量による治療は8週間以上継続し、ARB/利尿剤合剤(ロサルタン50mg/HCTZ12.5mg)への切り替え後、4週ごとに血圧の推移を評価した。また、血糖、HbA1C、血清カリウム、尿酸、脂質などの代謝系指標については8週間ごとに測定した。なお、尿中アルブミンと尿蛋白については切り替え前と切り替え16週間後に測定した。

 観察評価の結果、切り替え16週間後に96例(64%)が降圧目標を達成した。切り替え前に141.7±12.0/86.1±9.5mmHgだった血圧は、16週後に124.6±12.0/77.3±8.9mmHgへと有意(p<0.01)に低下していた。

 150症例全体の血圧値の推移をみると、4週後に131.6/81.1と有意(p<0.01)に低下し、8週後には127.7/78.9、12週後には125.0/77.7と、8週後の時点からすでに降圧目標値を達成、それが16週後の時点まで継続されていた。

 切り替え前のARBの種類別に血圧の推移をみたところ、ロサルタン群(32例)で140.9±11.9/84.8±9.0から123.2±11.5/76.2±8.5へ、カンデサルタン群(30例)で142.0±12.4/86.1±9.2から124.0±12.0/77.6±9.4へ、バルサルタン群(28例)で140.8±11.2/85.3±9.6から123.6±12.2/76.6±8.9へ、テルミサルタン群(30例)で143.6±11.8/88.6±10.0から127.6±11.8/78.7±8.7へ、オルメサルタン群(30例)で141.1±12.3/85.7±9.7から124.5±12.6/77.5±9.0へ、それぞれ有意(p<0.01)に低下していた。

 また、臨床検査値の変化からは、尿蛋白の減少効果が確認された。

 利尿薬の使用で懸念された副作用は特に認められなかったことから、大工原氏らは「ARB/利尿剤合剤は、2型糖尿病合併高血圧の患者に十分に有用である」と結論付けた。

 なお、ARB/利尿剤合剤変更後も目標値を達成できなかった症例の検討から、高血糖であること、腎症合併があること、さらには肥満、高用量インスリン投与、運動習慣のないことが、治療抵抗要因として浮かび上がった。これについては、「2型糖尿病合併高血圧の治療にインスリン抵抗性が密接に関連することが確認された」(大工原氏)と考察した。