札幌医科大学内科学第2講座の大西浩文氏

 心血管リスクがあっても腹部肥満がない場合や、逆に腹部肥満のみの場合には、特定保健指導の対象にならない。しかし、このような群でも、高血圧発症リスクが正常群の2倍前後になることが示された。端野・壮瞥町研究に基づく分析で、札幌医科大学内科学第2講座の大西浩文氏(写真)らが、札幌で開催された第31回日本高血圧学会総会(JSH2008)の高得点(優秀)演題「臨床・疫学」セッションで報告した。

 研究グループは、1994年の端野・壮瞥町住民健診の受診者のうち、高血圧の有症者(収縮期血圧≧140mmHg/拡張期血圧≧90mmHg、または降圧薬服用中)とデータ欠損がある者を除く1047人を対象とした。

 わが国のメタボリックシンドローム基準に基づいて対象者を6群に分け、エンドポイントを新規の高血圧発症として、最大13年間(平均5.7±4.4年)追跡した。

 各群は、(1)正常群(腹部肥満なし、リスクなし、n=463)、(2)非腹部肥満1リスク(n=282)、(3)非腹部肥満リスク集積群(n=94)、(4)腹部肥満リスクなし(n=53)、(5)腹部肥満1リスク(メタボリックシンドローム予備群、n=91)、(6)腹部肥満リスク集積群(メタボリックシンドローム群、n=64)とした。

 追跡期間中の新規高血圧発症は、正常群41.0%、非腹部肥満1リスク群63.8%、非腹部肥満リスク集積群71.3%、腹部肥満リスクなし群56.6%、メタボ予備群65.9%、メタボ群68.8%だった。

 この6群についてKaplan-Meier法による累積発症率を比較し、Cox比例ハザードモデルで年齢、性、喫煙、糖尿病などのリスク因子で調整したハザード比を求めたところ、すべての有リスク群で正常群に対して有意に高かった。正常群を1としたとき、腹部肥満を有する3群は、腹部肥満1リスク群が1.71、メタボ予備群が2.43、メタボ群は2.91だった。また腹部肥満がない2群である非腹部肥満1リスク群は2.09、非腹部肥満リスク集積群は2.79だった。

 初年度の高血圧で調整したところ、6群のうち、腹部肥満群1.69とメタボ予備群だけが有意に高リスクだった。

 大西氏らはこれらの結果をもとに、特定保健指導の対象にならない有リスク者でも、血圧高値があれば高血圧発症リスクが高いこと、血圧高値以外のリスクがある腹部肥満単独群やメタボ予備群も、高血圧リスクが有意に高いことを指摘した。

 さらに、年齢の影響についてのフロアからの質問に対して大西氏らは、今回とは異なる手法による分析としながらも、65歳以上では、腹部肥満などメタボリックシンドロームは、さほど高血圧発症リスクとはならず、65歳未満ではリスクになるとして、腹部肥満への介入はより若い世代に対して行うべきと述べていた。