一橋病院内科部長の青鹿佳和氏

 本態性高血圧治療において、β遮断薬は第1選択薬として不要なのか――。この問いかけに対し、「β遮断薬は第1選択薬として残すべき」とする研究成果が報告された。血行動態に着目し、β遮断薬が第1選択薬となりうる症例を調査したところ、約30%が対象例だったことが分かったからだ。一橋病院(東京都小平市)内科部長の青鹿佳和氏(写真)が10月10日、札幌市で開催されている日本高血圧学会で発表した。

 日本高血圧学会が改訂を進めている高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)の案では、本態性高血圧治療においてβ遮断薬は条件付きの第1選択薬という方向性が打ち出されている。青鹿氏らは、血行動態の特徴を見定めてから降圧薬を選択するという治療方針で診療に当たっているが、β遮断薬が第1選択薬として有効である症例を数多く経験していた。

 そこで実際の有効例を把握するため、同科高血圧外来の初診患者で、未治療の本態性高血圧で合併症のない87例(平均年齢55±12歳、男性44人、女性43人)を対象に調査を行った。

 外来においてImpedance cardiographyを用いて非侵襲的に血行動態を測定。外来随時採血で、血漿レニン活性、アルドステロン濃度、カテコラミン3分画も測定した。

 その結果、心拍出係数(CI)のみ高値が25例(29%)、末梢血管抵抗高値(TPRI)のみ高値が43例(49%)あり、両方が高値を示した症例が19例(22%)が存在した。

 CI値で高CI群(CI3.0以上)と低CI群(CI3.0未満)に分けて比較検討したところ、高CI群では、年齢がやや高い傾向が認められた。また、BMIは有意に低い、女性が有意に多い、高心拍数である、血中カテコラミン濃度が高い傾向にある、などが分かった。

 結局、β遮断薬の有効性が報告されている「高心拍出量+正常末梢血管抵抗」の症例が29%だったことから、青鹿氏は「β遮断薬を第1選択薬とすべき症例が少なからず存在する」と結論した。その上で、最近の大規模臨床試験では、降圧療法の効果は、選択した降圧薬の種類よりも、降圧そのものが大事であることを示していると考察。「個々の症例にあった、より適切な降圧が得られる薬剤を選択することが大切である点を考慮するなら、β遮断薬は第1選択薬として残すべきである」と考察した。