久留米大学内科学講座心臓血管内科部門の南條泰輝氏

 摂食成長ホルモン分泌を促進するペプチドであるグレリンインスリン抵抗性と負の関連性がみられ、糖代謝を改善する因子である可能性が示唆された。これまでにも少数例で同様の関連性を示す研究はあったが、一般住民を対象とした大規模疫学研究による報告は初めてだという。久留米大学内科学講座心臓血管内科部門の南條泰輝氏らが10月9日、札幌で開催されている第31回日本高血圧学会JSH2008)のポスターセッションで報告した。

 グレリンは1999年に国立循環器病センターの小島将康氏(当時)らがヒトとラットの胃から発見・同定したペプチドで、成長ホルモン分泌促進や摂食促進のほか、循環器にも関与することが知られている。京都大学探索医療センターの赤水尚史氏らが少数例(n=36)でインスリン抵抗性との関連を報告している。

 南條氏らは、2005年から2007年にかけて、長崎県五島列島の宇久島で実施された一般住民検診の受診者656人のうち、すべての検査に同意が得られた638人(男性236人、女性402人、平均65.1±9.7歳)を対象として身体測定、血圧測定、早朝空腹時採血を実施、ELISA法による血漿グレリン値HOMA値を得た。

 血漿グレリンの平均値は158.9±123.5fmol/mL。男性の131.1±115.0fmol/mLより女性175.2±125.3 fmol/mLは有意に高値で、高年齢ほど減少する傾向があった。

 性、年齢、BMIで調整したところ、血漿グレリン値はインスリン濃度(p<0.0001 for trend)、HOMA指数(p<0.0001 for trend)と有意な負の相関を、またHDL-C値(p=0.0007)と有意な正の相関を認めた。

 フロアからは、宇久島が漁村であることから一般人口を代表しているとは言い難いのではないかという指摘があった。南條氏らはこの点について、2009年中をめどに、主として農村人口が多い久留米市田主丸町で2500人を対象とした同様の調査研究を実施し、比較する予定としていた。