札幌医科大学内科学第2講座の千葉瑞恵氏

 脂肪組織などに発現する脂肪酸結合たんぱく質A-FABP」は、アディポネクチンとは別の因子として、メタボリックシンドロームの発症や進展に関与している可能性が示された。本邦の大規模疫学研究のひとつである端野・壮瞥町研究における断面調査の成果で、札幌医科大学内科学第2講座の千葉瑞恵氏(写真)らが10月9日、札幌で開催されている第31回日本高血圧学会JSH2008)のポスターセッションで報告した。

 A-FABPは、脂肪組織やマクロファージで発現しており、肥満を基礎とした糖尿病動脈硬化性疾患に関与していることが既に報告されている。

 研究グループは、端野・壮瞥町研究の一環として、地域住民検診による断面調査で、メタボリックシンドロームの診断基準とされる心血管リスク因子数およびメタボリックシンドロームの有無と、A-FABP値の関連を調べた。

 対象は、北海道の北見市端野町と有珠郡壮瞥町の住民のうち、2007年に住民検診を受診し、A-FABPを測定した722人(男性302人、女性420人、平均64.2±13.7歳)とした。

 メタボリックシンドローム診断基準は、腹部肥満(男性≧85cm、女性≧90cm)、血圧高値(130/85mmHg以上または降圧薬服用)、脂質異常TG≧150mg/dL、またはHDL-C<40mg/dL、または脂質改善薬服用)、耐糖能異常血糖≧110mg/dLまたは血糖降下薬服用)を用いた。

 対象群で各因子の平均値と標準偏差は次の通りだった。腹囲85.3±10.2cm、収縮期血圧138.4±25.0mmHg、拡張期血圧78.8±12.9mmHg、TG106.8±91.9mg/dL、HDL-C60.2±15.8mg/dL、血糖99.7±21.2mg/dL。

 A-FABPはELISA法で測定した。結果は平均22.0±10.2μg/L。男性は18.6±8.6μg/L、女性24.4±10.6μg/Lで、男女間で有意差を認めた。A-FABPは正規分布せずF分布を示したため、Log変換して解析した。

 結果は、メタボリックシンドローム診断数が0〜4個と増えるにつれ、A-FABP値は有意に増加した。また、メタボリックシンドローム有症者(腹部肥満と他に2項目以上の診断基準を満たす)は、非有症者に対してA-FABP値が有意に高かった。この関連は性、年齢、アディポネクチン、高感度CRPで補正しても同じく有意だった。

 なお、本ポスターでは男女を合わせて分析しているが、男女別の分析でも、男女いずれもA-FABPとメタボリックシンドローム、および心血管危険因子の間に有意な関連がみられたという。


【訂正】
 本文冒頭と写真キャプションで発表者の氏名に誤りがありました。正しくは千葉瑞恵氏です。お詫びして上記の通り、訂正いたします。