京都女子大学家政学部生活福祉学科教授の中村保幸氏

 地域在住の40歳代男性について、CT画像から算出した内臓脂肪皮下脂肪の面積と血圧メタボリックシンドロームの関連をみたところ、多変量解析では、内臓脂肪だけが有意な関連がみられた。循環器疫学に関する国際共同研究「ERA-JUMP」のデータを基にした研究成果で、京都女子大学家政学部生活福祉学科教授の中村保幸氏(写真)らが10月9日、札幌で開催中の第31回日本高血圧学会JSH2008)のポスターセッションで発表した。

 研究グループは、滋賀県草津市で2001年5月から2004年2月にかけて無作為に接触した40歳代の男性約600人のうち、降圧薬服用者を除外し、重大な合併症がなく、調査に同意した293人(約49%)を対象とした。

 対象群の属性と測定値の平均値は次の通り。年齢は45.1歳、収縮期血圧は124.6mmHg、拡張期血圧は76.1mmHg、BMIは23.6kg/m2で、内臓脂肪面積は78.9cm2皮下脂肪面積は81.0cm2、メタボリックシンドローム診断要素数は1.6だった。

 これらを基に重回帰分析を実施、血圧とメタボリックシンドローム診断数に対する内臓脂肪、皮下脂肪の寄与を求めた。メタボリックシンドローム診断要素の有無は、血糖値≧100mg/dL、血圧高値≧130/85mmHg、HDL-C<40mg/dL、TG≧150mg/dLの4つとした。内臓脂肪、皮下脂肪面積は、CTで腰椎4-5間における計測により求めた。調整因子は年齢飲酒喫煙とした。

 重回帰分析の結果は、収縮期血圧について、調整因子に内臓脂肪を加えたモデル、皮下脂肪を加えたモデルではいずれも有意(それぞれp<0.0001とp=0.0002)だったが、内臓脂肪と皮下脂肪の両方を加えたモデルでは、皮下脂肪の有意性はなくなって、内臓脂肪だけが有意(p=0.001)だった。内臓脂肪、皮下脂肪のそれぞれとBMIを組み合わせたモデルでも、内臓脂肪+BMIだけ有意(p=0.0022)だった。

 この傾向は、拡張期血圧とメタボリックシンドローム要素数についても同様で、内臓脂肪だけが有意な寄与因子となった。

 これらの結果から中村氏は、内臓脂肪を指標とした生活習慣指導が重要と結論付け、「対象者全員にCTを施行するのは困難だが、内臓脂肪量を推定できる体重計などが活用できるのではないか」とした。