国立循環器病センターの堀尾武史氏

 高血圧患者における慢性腎臓病CKD)の合併は、心房細動新規発症の独立したリスクであることが報告された。本態性高血圧患者1000人余を対象にした観察研究によって明らかになったもので、国立循環器病センターの堀尾武史氏(写真)らが10月9日、札幌市で開催されている日本高血圧学会で発表した。

 心房細動は高血圧症においてもよく認められる合併症であり、加齢や心肥大、左房拡大などが危険因子であることが知られている。その一方で、腎障害は心血管疾患の発症リスクであり予後に大きな影響を与えることが明らかになってきた。しかし、心房細動発症と腎障害の関連性を示した研究はなかったため、堀尾氏らは、高血圧患者においてCKDが心房細動発症の独立したリスクなのかどうか検討した。

 対象は、1997年から2003年に同センター内科(高血圧腎臓部門)で心エコー検査を行った本態性高血圧患者。検査時に洞調律でかつ発作性心房細動の既往、あるいは心不全、心筋梗塞、心筋・心膜疾患、弁膜症、左室壁運動以上、透析合併例を除いた1118症例。男性580人、女性535人で平均年齢63±11歳だった。

 外来で定期的なフォローを続け、観察期間中に発作性または慢性の心房細動が新たに確認できた症例を心房細動新規発症例とした。

 観察の結果、平均観察期間4.7年で、57例(1.1%/年)に心房細動の新規発症を認めた。カプラン・マイヤー分析により心房細動の累積発生率を求めたところ、推定糸球体ろ過率(eGFR)の低下や蛋白尿の増加にともなって、累積発生率は増加していた(いずれもp<0.001)。また、CKD合併群(386例)では心房細動の発生頻度は8.3%で、CKD非合併群(732例)の3.4%より有意(p<0.001)に高かった。さらに累積発生率も有意に増加していた(p<0.001)。

 多変量分析では、年齢(オッズ比1.54/10歳、95%信頼区間1.16‐2.04、p=0.003)と喫煙(オッズ比1.78、1.01−3.15、p=0.047)、さらにCKDの合併(オッズ比2.18、1.21−3.90、p=0.009)が心房細動の新規発症に対する強い独立規定因子だった。

 この結果から堀尾氏らは、「CKDと心房細動発症との間に認めた有意な関係は、高血圧症における脳心腎連関の新しい視点になるかもしれない」などと考察した。