福井大学医学部病態制御医学・内科学の此下忠志氏

 Ca拮抗薬は降圧効果と安全性に優れた有用な降圧薬であるが、種々の機序によりレニン・アンジオテンシン(RA)系の活性亢進をもたらすことがネックとされている。しかし、N型Caチャネル遮断作用をもつシルニジピンに関しては、RA系を活性化しにくいことが動物実験において示されている。福井大学医学部病態制御医学・内科学の此下忠志氏らは、高血圧患者に対し、N型Caチャネルへの作用をもたないアムロジピンN型Caチャネル拮抗薬シルニジピンのクロスオーバー試験を行った結果、同剤がヒトにおいても同様の特性を示すことを明らかにし、日本高血圧学会のポスターセッションで報告した。

 対象は、此下氏らの施設を受診した高血圧連続症例86例(うち男性34例、平均年齢69.2±10.2歳)である。同氏らは、これらの患者にアムロジピン(5mg/日)とシルニジピン(10mg/日)を、それぞれ3カ月ずつ単独投与し、血圧、血漿レニン活性(PRA)、アンジオテンシンI(AI)、アンジオテンシンII(AII)、アルドステロン濃度(PAC)、心房性利尿ペプチド(ANP)、尿中アルブミン(UAB)などを測定し、2剤間の切り替えに伴うこれらの因子の変化を比較した。

 その結果、血圧、クレアチニン値(Cr)、PAC、ANPについては、いずれの薬剤を投与した期間にも変化はみられなかった。しかしPRAは、アムロジピン投与時の1.31±1.29ng/mL/時に対してシルニジピン投与時は0.97±0.80ng/mL/時(p<0.001)、AIは157±288pg/mLに対して104±90pg/mL(p<0.05)、AIIは11.6±11.4pg/mLに対して7.5±3.9pg/mL(p<0.001)、そしてUABは153.6±458.8mg/g・Crに対して56.2±121.7mg/g・Cr(p<0.05)と、いずれもシルニジピン投与時において有意に低値であった。

 以上のように、シルニジピンは降圧度がアムロジピンと同等であった一方で、RA系への影響は有意に少なく、尿中アルブミン排泄量はアムロジピン投与時の約1/3であった。此下氏は、「RA系への影響と腎保護の観点からみて、シルニジピンはCa拮抗薬の中でも、より有用な薬剤である可能性が高い」と述べた。