福岡歯科大学総合医学講座内科学分野の堺孝明氏

 高血圧性臓器障害の予防・進展阻止のためには、優れた降圧効果と臓器保護作用を兼ね備えた降圧薬を用いることが理想である。福岡歯科大学総合医学講座内科学分野の堺孝明氏らは、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)単剤では降圧不十分な高血圧患者に対し、L/N型Caチャネル拮抗薬シルニジピンを併用投与することにより、降圧効果の増加とともに、降圧とは独立した臓器保護作用が認められたことを、日本高血圧学会のポスターセッションで報告した。

 本検討の対象は、収縮期血圧(SBP)≧140mmHgかつ/または拡張期血圧(DBP)≧90mmHgで、ARB投与にもかかわらず降圧不十分な本態性高血圧症例31例である。堺氏らは、これらの患者にシルニジピン(最大20mg/日)を追加投与し、3カ月後の血圧と、種々の臓器保護因子、心機能評価、代謝性因子などの変化を比較した。

 3カ月後の血圧は、SBPがシルニジピン投与前の148±13mmHgから131±12mmHgへ、DBPが79±12mmHgから73±9mmHgへ、平均血圧(MBP)が102±11mmHgから92±7mmHgへと有意に低下した(すべてp<0.001)。また、尿中アルブミン(U-Alb)も195.0±516.7mg/g・Crから109.6±361.4mg/g・Crへ、BNPも55±57pg/mLから36±38pg/mLへと有意に改善した(ともにp<0.01)。その他の諸因子には、シルニジピン投与によって有意な変化が生じることはなかった。

 続いて堺氏らは、シルニジピン投与に伴い変化を認めた上記5因子間の相関関係を検討。その結果、SBPとDBP、MBPの3因子間に有意な正の相関を認めた(r2=0.39〜0.84、p=0.0002〜p<0.00001)。しかし、U-Albとその他の因子、BNPとその他の因子の間には相関は認められなかった。

 すなわち、シルニジピンの追加によって得られたU-AlbとBNPの改善は、降圧とは独立した現象であるものと考えられる。L/N型チャネルCa拮抗薬であるシルニジピンには、N型チャネル阻害を介した腎保護作用があることが報告されているが、今回の堺氏らの検討結果はその正当性を支持するとともに、さらに心保護作用の存在をも示唆するものといえる。加えて優れた降圧効果も認められたことから、「ARBとシルニジピンの併用は、降圧と腎・心臓器保護の両面において有用な効果が期待される組み合わせだ」と同氏は結論付けていた。