市立長浜病院内分泌・代謝・腎臓内科の西村正孝氏

 慢性腎臓病CKD)患者の降圧には、レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬の使用が推奨されるが、単剤では降圧が不十分であることが少なくない。一方、降圧力に優れるCa拮抗薬輸入細動脈を優位に拡張させるため、糸球体内圧を上昇させ、腎機能の低下を招くことが危惧される。しかし、市立長浜病院内分泌・代謝・腎臓内科の西村正孝氏らは、L/N型Caチャネル拮抗薬であるシルニジピンであれば、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)との併用によって、むしろ蛋白尿を抑制するとの可能性を示唆した。

 本検討の対象は、ARB投与にもかかわらず降圧不十分(>130/80mmHg)なCKD患者21例(うち男性16例、平均年齢59歳)である。原疾患の内訳は、メサンギウム増殖性糸球体腎炎8例、膜性腎症5例、糸球体硬化症6例であった。また、21例中6例はARBに加えて他のCa拮抗薬を投与されていた。

 これらの患者に対して西村氏らは、現行のARB投与量を変えることなくシルニジピン10mg/日を追加投与し、血圧と蛋白尿の変化を6カ月にわたって観察した。なお、既に他のCa拮抗薬を投与されていた6例については、その投与を中止してシルニジピンに切り替えた。

 その結果、血圧はシルニジピン投与前の141±15/87±11mmHgから136±13/79±8mmHgへと低下し(p<0.01)、蛋白尿/クレアチニン比も1.20±0.91g/g・Crから0.62±0.60g/g・Crへと約半減した(p<0.01)。

 さらに、他のCa拮抗薬からの切り替えを行った6例では、切り替え前後の血圧値に有意な変化は認められなかったにもかかわらず、蛋白尿/クレアチニン比は切り替えに伴い有意に低下した(p<0.05)。すなわち、蛋白尿の改善は、降圧を介してもたらされたものではないことが示唆された。

 以上より、ARBとシルニジピンの併用投与は、ARB単剤では不十分な血圧コントロールを補うだけでなく、降圧とは独立した機序により、蛋白尿改善効果をも増強することが示唆された。西村氏は、「降圧とは独立した機序」について、N型Caチャネルブロックに基づく輸出細動脈の拡張を介したものであろうと考察していた。