済生会松山病院循環器科の渡辺浩毅氏

 シルニジピンは、他のジヒドロピリジン系Ca拮抗薬にはないN型Caチャネルへのブロック作用をもつユニークなCa拮抗薬である。この特性は、臨床的にも従来のCa拮抗薬とは異なる効果を生み出す可能性がある。済生会松山病院循環器科の渡辺浩毅氏らは、シルニジピン投与が心血管系に及ぼす影響を種々の指標を用いて検討。その結果、シルニジピンには、代表的Ca拮抗薬であるアムロジピン以上に強力な蛋白尿改善作用が認められるとともに、アムロジピンにはみられない交感神経抑制作用と血清HGF増加作用が認められたことを、日本高血圧学会のポスターセッションで報告した。

 検討対象は、未治療、またはCa拮抗薬以外の降圧薬で治療中にもかかわらず血圧コントロール不良の本態性高血圧患者43例である。渡辺氏らは、これらの患者を無作為に2群に分け、シルニジピン10〜20mg/日(C群:n=22)またはアムロジピン2.5〜10mg/日(A群:n=21)を約6カ月にわたって投与し、治療前後の血圧、脈拍、血清HGF濃度、脈波伝播速度(PWV)の測定、心エコー、123I-MIBG心筋シンチ検査などを行った。

 6カ月後の血圧は、両群ともに有意な低下をきたした(C群:173.6/99.6 → 143.9/81.0mmHg、A群:171.1/98.2 → 141.9/80.1mmHg)。また、PWVも両群ともに有意に低下した(C群:2,026 → 1836cm/秒、A群:2009 → 1800cm/秒)。すなわち、降圧と抗動脈硬化作用については、シルニジピンとアムロジピンの効果は同等であった。

 しかし、C群では心拍数についても著明な低下が認められた(84.6 → 76.6拍/分)一方、A群には有意な変化はみられなかった(79.7 → 77.7拍/分)。また、交感神経機能を反映する123I -MIBGの洗い出し率(WR)と心/縦隔比(H/M)も、C群のみ有意な改善を認めた。

 またC群では、近年血管内皮機能との相関が指摘されている血清HGF濃度の有意な上昇が認められた(0.22 → 0.31ng/mL)が、A群ではこうした変化はみられなかった(0.23 → 0.24ng/mL)。さらに、C群ではA群に有意に優る強力な微量アルブミン尿低下作用が認められた(C群:354 → 39mg/gCr、A群:252 → 132mg/gCr)。

 以上のことからシルニジピンは、アムロジピンと同等の降圧効果とアムロジピンに優る蛋白尿改善効果を有するほか、アムロジピンにはない交感神経抑制作用と血管内皮機能改善作用も有している可能性が示唆された。渡辺氏は、「こうした特性を持つシルニジピンには、降圧とは独立した予後改善効果が期待できるかもしれない」と結んだ。