京都工場保健会診療所の桑原典子氏

 早朝高血圧の存在が心血管イベントリスクを大きく押し上げることは周知の事実であり、理論的にはα遮断薬がその治療に適すると考えることも半ば「常識」となっている。しかしながら、最近では一部のCa拮抗薬にはα遮断薬に匹敵する早朝高血圧抑制効果があることが報告されている。京都工場保健会診療所の桑原典子氏らは日本高血圧学会のポスターセッションで、α遮断薬のドキサゾシンとCa拮抗薬のシルニジピンニフェジピン徐放薬の就寝前投与による早朝高血圧改善効果を比較。Ca拮抗薬2剤の効果はα遮断薬に優るとも劣らないものであったことを報告した。

 桑原氏らは、同氏らの施設で治療中の高血圧患者のうち、早朝血圧が収縮期血圧(SBP)≧140mmHgかつ/または拡張期血圧(DBP)≧90mmHgで、就寝前に降圧薬を服用していない患者123例を無作為に3群に分け、現在服用中の降圧薬(朝1回投与)に加えて、1.ドキサゾシン1〜2mg、2.シルニジピン10mg、3.ニフェジピン徐放剤20〜40mgを就寝前に投与し、8週間の治療を行った。

 患者には、早朝(起床後1時間以内、朝食・服薬前)と寝前の家庭血圧測定を指導し、測定値の治療前後の変化を比較した。ただし、測定値は外来診療日前の7日間の平均値とした。また、治療前後の外来血圧の変化も比較している。

 治療後の早朝家庭血圧は、3群すべてにおいて有意な低下を示した(ドキサゾシン群:146.1/84.7mmHg → 139.6/81.2mmHg、シルニジピン群:145.8/84.9mmHg → 137.4/81.3mmHg、ニフェジピン群:152.1/87.0mmHg → 138.3/81.0mmHg、p<0.05〜p<0.001)。特に、ニフェジピン群における降圧度は、ドキサゾシン群より有意に高かった(p<0.05)。

 また、ドキサゾシンで効果不十分であったためにシルニジピンに変更した6例と、ニフェジピンに変更した6例では、いずれも変更前より有意な早朝高血圧の改善が認められた(シルニジピン:143.6/83.0mmHg → 136.1/81.3mmHg:p<0.05、ニフェジピン:144.8/85.5mmHg → 136.1/80.3mmHg:p<0.05)。

 以上の結果から、シルニジピンやニフェジピンの就寝前投与は、ドキサゾシンの就寝前投与と同等以上の早朝高血圧改善効果を有することが示唆された。その理由として桑原氏は、シルニジピンはN型Caチャネルの阻害に伴う交感神経抑制作用を有すること、ニフェジピンはその徐放製剤の特徴である二峰性の血中濃度ピークのひとつがちょうど起床時と一致したことを挙げていた。