近畿大学医学部高血圧・老年内科の甲斐達也氏

 近畿大学医学部高血圧・老年内科の甲斐達也氏らは、N/L型Caチャネル拮抗薬であるシルニジピンによる3カ月間の治療により、反射性の交感神経活性亢進を生じることなく有意な降圧が得られるほか、交感神経機能の改善がもたらされることを既に報告している。今回同氏らは、観察をさらに3カ月延長しても効果の減弱は認められなかったことを、日本高血圧学会のポスターセッションで報告、その効果が長期的なものであることを示唆した。

 シルニジピンは、交感神経終末に局在するN型Caチャネルへの作用により、血管平滑筋のL型Caチャネルブロックに伴う反射性の交感神経活性亢進を抑制し、心拍数の増加などを呈することなく降圧をもたらすCa拮抗薬として期待されている。甲斐氏らは、軽症〜中等症の高血圧患者15例(平均年齢61歳)にシルニジピン10mg/日を6カ月間投与し、血圧と心拍数の変化を観察するとともに、Valsalva法による交感神経と副交感神経機能の評価を行った。

 Valsalva法は強い呼気負荷により、血圧と心拍変動に4相の変動が見られる。II相後期の血圧が交感神経α機能を、IV相の血圧が交感神経β機能を反映すると言われている。またII相前期の心拍数をIV相の心拍数で除した値はValsalva ratioと呼ばれ、副交感神経機能の評価指標となる。

 その結果、血圧は拡張期・収縮期ともに3カ月のシルニジピン投与によって有意な低下を示し、その効果は6カ月後にも良好に維持されていた(すべてp<0.05 vs ベースライン時)。一方、心拍数には3カ月後・6カ月後とも有意な変化は認められなかった。また、副交感神経機能の指標であるValsalva ratio(と呼吸心拍変動)も不変であった。

 これに対し、交感神経α機能の指標であるII相後期の血圧と、同じく交感神経β機能の指標であるIV相の血圧は、3カ月後・6カ月後ともベースライン時に比して有意な低下を示した(ともにp<0.05)。特に、6カ月後のIV相の血圧は、3カ月時よりさらに有意に低下していた(p<0.05)。

 以上より、シルニジピンは脈拍数に有意な変化を与えることなく血圧の有意な低下をもたらすだけでなく、交感神経機能を有意に改善することが明らかとなった。しかも、その効果は少なくとも6カ月にわたって持続しており、特に交感神経β機能については3カ月以降もさらに改善が進むことが示唆された。