関西医科大学第二内科の青田泰子氏

 頭側延髄腹外側野RVLM)は交感神経活動の制御中枢であり、本態性高血圧患者では正常血圧者に比べてRVLMに動脈が接した解剖学的特徴が認められる頻度が高い。こうした特徴を持つ患者には、交感神経抑制作用を持つ薬剤の有効性が高いのではないかと推測した関西医科大学第二内科の青田泰子氏らは、交感神経抑制作用を併せ持つCa拮抗薬シルニジピンに着目。RVLMへの動脈の接触のある患者とない患者への同剤の効果を比較した結果、前者において、より高い効果が認められたことを報告した。研究成果は日本高血圧学会のポスターセッションで提示した。

 本検討の対象は、MRIによってRVLMへの動脈の接触が認められた未治療の本態性高血圧患者14例(NCV+群)と接触のない患者16例(NCV-群)である。

 青田氏らは、これらの患者に対してシルニジピン10mg/日を16週間投与し、両群の血圧変化を比較した。その結果、シルニジピンの投与は両群ともに有意な血圧の低下をもたらしたが、特に収縮期血圧の降圧度はNCV+群のほうが有意に大であった(収縮期血圧変化:37±5mmHg vs 16±3mmHg、p<0.01)。

 同氏らはまた、降圧治療中の本態性高血圧患者23例(NCV+群13例、NCV-群10例)に交感神経抑制薬であるクロニジンを4週間投与し、血圧および血漿ノルエピネフリン(NE)値の変化を比較した。

 その結果、NCV-群では血圧・NE値とも有意な変化はみられなかったが、NCV+群では収縮期血圧17±6mmHg、NE値363±87pg/mLの有意な低下を認めた(いずれもp<0.05)。

 以上より、RVLMへの動脈の接触を認める本態性高血圧患者への降圧には交感神経活性の抑制が有用であることが明らかとなった。交感神経抑制作用を併せ持つCa拮抗薬であるシルニジピンは、接触の有無にかかわらず有用であるが、接触のある例では特に高い有効性が期待できるものと考えられた。