沖縄の伝統料理による介入試験を進める等々力氏

 沖縄の伝統食が高血圧予防に有効である可能性が示された。沖縄型食事と沖縄の野菜を組み合わせた食事介入試験であるチャンプルースタディの成果の一端で、琉球大医学部環境生態医学分野准教授の等々力英美氏(写真)らが10月27日、日本高血圧学会のシンポジウム「栄養」で発表した。

 等々力氏らは、日本一の長寿県として知られた沖縄を襲った「26ショック」を機に、長寿の原因の一つとして考えられる沖縄の伝統食を再評価する研究に取り組んできた。「26ショック」とは、2000年に沖縄男性の平均寿命の順位が全国4位から26位に急落したことを指す。2000年の「年齢階級別死亡率」を見ると、男性でも65歳以上は1位だったが、35〜44歳の男性の死亡率は日本全国で最も悪く、この年齢層が沖縄男性全体の平均寿命を押し下げていた。等々力氏らは、65歳以上の多くの人がいまだに沖縄の伝統料理に慣れ親しんでいる点に着目、若年層の食生活の見直しにつなげるためにチャンプルースタディを進めてきた。

 今回発表したチャンプルスタディ3では、沖縄在住の40〜60歳の健康な米国人男女138人を対象に、4週間を介入期間とする交差試験を実施した。介入群には、沖縄の伝統食を現代風にアレンジしたチルド食(月曜日から木曜日用に週8食分)とゴーヤジュース約1リットル(土日用)を配送し摂取してもらった。チルド1食分に占める野菜は平均で243gだった。一方の対照群には、欧米型の食事を摂取してもらった。前期介入群、後期介入群ともに、介入前後に自記式食事歴法質問票に記入してもらい、空腹時血清と24時間尿の採取を行った。また、家庭内血圧による測定と介入前後には脈波伝播速度値の測定も行った。

 これまでに終了した前半介入期の解析結果によると、尿中ナトリウムの排泄は介入群で0.94g/日減少し、対照群では0.04g/日増加した。体重の変動は、介入群で0.9Kg、対照群で0.1Kgの減少が見られた。気になる血圧は、介入群で収縮期血圧が2.6mmHg、拡張期血圧が2.1mmHg減少し、対照群では収縮期血圧が0.2mmHg、拡張期血圧が0.3mmHg減少した。
 
 減塩効果あるいは体重の減少のほか降圧効果も確認できたことから、等々力氏らは、「沖縄野菜を豊富に取り入れた沖縄の伝統食は、高血圧予防に有効である可能性が示唆された」と結論した。

 等々力氏は、チャンプルスタディ3の脱落者が10%程度に納まっていることから、欧米人にも沖縄の伝統食は受け入れられるとみている。今後は、沖縄県以外でもチャンプルースタディのシリーズを展開する予定で、来春早々には、東京と神奈川で日本人を対象にした介入試験を立ち上げる予定だ。