循環器疾患死亡の対策上、高血圧と喫煙の予防が何より重要と強調する寳澤氏

 60歳未満男性の循環器疾患死亡は、その約60%が高血圧喫煙だけで説明が可能であることが分かった。死亡に関与するリスクの寄与度を評価する手法の一つである人口寄与度割合(PAF)による分析で明らかになったもので、滋賀医大福祉保健医学の寳澤篤氏(写真)らが10月26日、日本高血圧学会のプレナリー(高得点演題)セッション「疫学」で発表した。

 寳澤氏らは、1980年循環器疾患基礎調査の調査対象者1万3771人のうち、実際に調査可能だった1万546人を追跡したデータ(NIPPON DATA80)を用いて、高血圧と喫煙のPAFを求めた。

 代表的な循環器疾患の既往歴のない8912人を対象とし、19年間の追跡データを解析。高血圧の有無と現在喫煙の有無で、対象を「高血圧あり+現在喫煙あり」「高血圧あり+現在喫煙なし」「高血圧なし+現在喫煙あり」「高血圧なし+現在喫煙なし」の4群に分けて分析した。解析にあたっては、年齢、BMI、糖尿病、総コレステロール、飲酒を調整要因としてコックス比例ハザードモデルを用いた。

 その結果、19年間の追跡中の死亡は、男性で循環器疾患死亡313例、総死亡948例であり、女性ではそれぞれ291例と766例だった。

 高血圧と現在喫煙の両方かまたはどちらか一方がある群において循環器疾患死亡の超過死亡数を求め、高血圧と喫煙のPAFを計算したところ、60歳未満男性で57.4%、60歳以上男性で26.3%、男性全体では35.1%だった。一方、60歳未満女性で40.7%、60歳以上女性で18.1%で、女性全体では22.1%だった。

 また、総死亡に関する高血圧と喫煙のPAFは、60歳未満男性で28.6%、60歳以上男性で24.6%、男性全体では26.1%だった。一方、60歳未満女性で7.3%、60歳以上女性で18.4%で、女性全体では15.4%だった。

 寳澤氏らは今回の解析結果から、高血圧と喫煙が循環器疾患死亡の強力な危険因子でありことが改めて確認できたとし、特に60歳未満で強いと指摘した。その上で60歳未満にあっては、高血圧と喫煙の組み合わせで、男性では約60%、女性では約40%の循環器疾患死亡が説明できることから、循環器疾患死亡の対策上、高血圧と喫煙の予防が何より重要であると強調した。