JSH2004発表前後の高血圧治療の成績を比較した小原氏

 2004年に日本高血圧学会が発表した高血圧治療ガイドライン2004(JSH2004)を機に、高血圧患者に対する積極的な治療が浸透し、血圧管理も改善していることが分かった。JSH2004発表前後の治療成績を比較した研究で明らかになったもので、東北大大学院臨床薬理学講座の小原拓氏(写真)らが10月26日、日本高血圧学会のプレナリー(高得点演題)セッション「疫学」で発表した。

 小原氏らは、降圧治療中の患者における家庭内血圧測定の実態を調べた2つの調査研究をもとに、JSH2004の影響を比較検討した。一つは2003年に実施されたJ-HOME研究、もう一つはJSH2004発表後の2005年から2006年にかけて実施されたJ-HOME-Morning研究で、どちらもJ-HOME研究グループによるものだった。

 今回の比較研究では、それぞれの調査研究に協力した主治医に対して自記式アンケートを依頼し、患者背景、血圧の状況、降圧薬の処方状況、患者の血圧に対する主治医としての評価などを回答してもらった。いずれの対象も、主治医のもとで家庭内血圧の自己測定を行っている外来治療中の本態性高血圧患者で、患者背景は2つの調査の間で特に目立った違いは見当たらなかった。

 比較の結果、JSH2004発表後(2005-06年)には、服用していた降圧薬の数は増加しており、家庭血圧管理の状況と外来血圧管理の状況はどちらも改善していた。また、患者の血圧に対する主治医の評価は、厳格化していることも分かった。

 例えば、処方薬剤数は2003年に1.72±0.85だったが、2005-06年には2.02±1.10と増加していた。2003年と2005-06年では、1剤の割合は48.5%対37.6%、2剤は35.4%対36.6%、3剤以上は15.9%対25.9%で、3剤以上が顕著に増えていた。薬の割合では、カルシウム拮抗薬(69.6%対73.0%)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB、43.6%対56.2%)、利尿薬(9.3%対15.5%)と、それぞれ増加していた。

 血圧の状況は、管理良好高血圧患者の割合が2003年に19.1%だったのが2005-06年には31.4%に増加、一方の管理不良高血圧患者数の割合は43.4%(2003年)が28.0%(2005-06年)に減少していた。

 主治医の血圧評価は、「不良」と判断する基準がより厳しくなっていた。50%以上の医師が不良と判断した値をみると、2003年には150-155mmHgだったが、2005-06年には145-150mmHgと厳しい方へシフトしていた。

 小原氏らは、2004年時点で7割近くの医師がJSH2000(2004の前身)を臨床応用していた点、あるいはJSH2004で長時間作用型薬剤・利尿薬の併用療法が推奨され、さらに高齢者の降圧目標がより低値に設定されたことなどを挙げ、厳格な降圧を推奨したJSH2004が医療現場に普及した可能性が高いと考察。JSH2004の発表を機に「積極的な治療が浸透し、血圧管理も改善した」と結論付けた。