味の素医薬研究所の有冨静氏

 副腎皮質からのアルドステロン分泌にはT型およびL型Caチャネルが関与していることが報告されているが、N型Caチャネルについてはその関与はおろか副腎皮質への局在の有無もわかっていない。味の素医薬研究所の有冨静氏らは、ヒト副腎皮質球状層由来細胞(H295R)を用いた検討により、H295RにおけるN型Caチャネルの存在を確認するとともに、同チャネルがT型・L型チャネルとは異なる様式によってアルドステロン分泌に関与していることを明らかにした。研究成果は10月25日のポスターセッションで報告された。

 有冨氏らは、N型CaチャネルのサブユニットCav2.2に対する特異抗体を用いた免疫染色とCav2.2 cDNAを用いたRT-PCRとにより、培養H295R細胞におけるCav2.2サブユニットの発現を確認した。すなわち、RNAレベルでも蛋白レベルでも同細胞におけるN型Caチャネルの存在が確認されたわけである。

 次に同氏らは、1μMのアンジオテンシンII(AII)とともに、ω-conotoxin選択的N型Caチャネル拮抗薬)、シルニジピンL/N型Caチャネル拮抗薬)、ニフェジピンL型Caチャネル拮抗薬)、エフォホニジピンL/T型Caチャネル拮抗薬)のいずれかを添加した培地でH295Rを培養。AII刺激に呼応して誘導されるアルドステロン分泌が、これらのCaチャネル拮抗薬の添加によって阻害されるか否かを検討した。

 その結果、ω-conotoxinとシルニジピン、エフォホニジピンは100nMの濃度でアルドステロン分泌を有意に抑制したのに対し、ニフェジピンは1000nM以上の高濃度で添加して初めて有意な抑制を示した。

 興味深いことに、N型以外のCaチャネルへの阻害作用を有するシルニジピンとニフェジピン、エフォホニジピンは、アルドステロン分泌に関与する2つの酵素(CYP11B2、CYP11B1)のmRNA発現量の有意な低下をもたらしたが、N型Caチャネルにしか作用しないω-conotoxinはこれらの発現に影響を及ぼさなかった。

 すなわち、T型・L型チャネルを介したアルドステロン分泌の促進作用の少なくとも一部はCYP11B2とCYP11B1の発現増強に基づくものであるのに対し、N型Caチャネルを介したアルドステロン分泌促進は、これらの増強とは別の機序に基づくものであることが示唆された。有冨氏は、「N型Caチャネルはこれらの酵素を介さない、副腎皮質細胞に対する直接的なアルドステロン分泌促進作用を有するのではないか」と述べていた。