動脈硬化指標であるAIAugmentation Index)が起立時に低下する症例では、無症候性ラクナ梗塞のリスクが約3.2倍に高まることが分かった。愛媛大学医学系研究科老年医学の小原克彦氏らの研究で、10月25日に行われた日本高血圧学会のポスターセッションで報告された。

 起立性低血圧無症候性脳梗塞と相関することが知られており、起立性低血圧患者では起立時のAI低下が見られる。そこで研究グループでは、画像診断で発見した無症候性脳梗塞と起立性のAI変化の関連性を検討した。

 愛媛大附属病院の抗加齢ドック受診者のうち、脳卒中の既往がなく、同意が得られてプロトコルに従った測定が可能だった361人(平均年齢67歳、男性39%)を対象とした。無症候性ラクナ梗塞は、3テスラMRIによる計測で、T2強調画像=高信号、T1強調画像=低信号を呈する最大3〜15mmの限局性病変と定義した。測定できた325人のうち36人に発見された。

 健常群とラクナ梗塞群を比較したところ、有意差が見られたのは、収縮期血圧収縮後期血圧拡張期血圧血糖値HOMA脈波伝搬速度だったが、ロジスティック回帰分析の結果、独立した指標となったのは収縮期血圧と血糖値だけで、オッズ比も共に1.02だった。これに対して起立性の変化をみたところ、AI値はラクナ群が-7.9に対して健常群は-5.2で、有意な差がみられた(p=0.048)。

 なお、収縮後期血圧は、反射波によって生じる準ピーク値で、測定器によって得られるAI値に上腕収縮期血圧を乗じることで得られる。

 収縮期血圧、収縮後期血圧の変化、起立性AI変化、心拍とラクナ梗塞の関連性を調べたところ、起立性AI変化だけに有意差が見られた。

 AI値変化の三分位をとってロジスティック回帰分析を行ったところ、無症候性ラクナ梗塞の独立因子になったのは、高血圧とΔAI三分位の2つとなった。オッズ比は高血圧が約3.9、ΔAI三分位が約3.2となった。

 小原氏らは、起立時のAI低下が無症候性ラクナ梗塞の独立した危険因子になったことは、AI低下が末梢血液動態を反映しており、大血管とともに末梢血管障害がラクナ梗塞のリスクとなる可能性を示唆したものと指摘した。

 また、起立に伴うAIの変化は、起立に伴う収縮期血圧の変化との相関(r=0.102、p=0.052)よりも、収縮後期血圧の変化と有意で高い相関(r=0.313、p=0.001)を示したことから、収縮後期血圧が評価尺度として有益であると述べていた。