高血圧における脳内酸化ストレと交感神経活動の亢進の関与について研究を進めている永江氏

 肥満高血圧の動物モデルにおいて脳内酸化ストレスの上昇が確認され、肥満高血圧の昇圧機序に、この脳内酸化ストレスを介した中枢性交感神経活動の亢進が関与している可能性が示された。東大医学部附属病院腎臓・内分泌内科の永江愛氏(写真)らが25日、日本高血圧学会のプレナリーセッション「RAAS・酸化ストレス」で発表した。

 永江氏らは、食塩感受性高血圧モデルの動物実験などから、脳内酸化ストレスの亢進が交感神経活動の亢進を介して血圧の上昇をもたらしている可能性を報告してきた。交感神経系の関与が指摘されていた肥満高血圧においても同様に、脳内酸化ストレと交感神経活動の亢進が関与しているとの仮説をたて、動物実験でその検証を試みた。

 検討対象は、45%高脂肪食もしくは普通食(10%脂肪食)で6週間飼育した10週齢のラット。交感神経活動の指標として尿中カテコラミンを測定し、自律神経系の遮断薬であるヘキサメトニウム静注による血圧変化をみた。その結果、高脂肪食を与えられたラット群で肥満と軽度の高血圧が見られ、尿中カテコラミンの排泄が増加していた。また、ヘキサメトニウム静注による血圧抑制が強かったことから、肥満高血圧のラットモデルでは、交感神経活動の亢進の可能性が確認された。

 一方、脳内酸化ストレスについては、抗酸化剤を投与しその影響を把握するとともに、視床下部におけるNADPH oxidaseの活性などを調べた。その結果、肥満高血圧のラットモデルでは、抗酸化剤の投与による降圧反応が顕著だったほか、視床下部におけるNADPH oxidaseの活性なども亢進していた。

 これらの結果から永江氏らは、肥満高血圧のラットモデルでは脳内酸化ストレスの上昇による交感神経活動の亢進を介して、昇圧が引き起こされる可能性があることが示唆される、と結論した。