ロサルタン/HCTZ合剤の有用性を検討している北氏

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)と少量利尿薬との合剤であるロサルタン/HCTZ合剤(商品名:プレミネント)は、降圧効果が不十分な高血圧患者に有用であることが分かった。合剤への切り替え後、拡張期血圧(SBP)で64%、収縮期血圧(DBP)で94%もの患者が高血圧治療ガイドラインの降圧目標を達成できたという。宮崎大医学部第一内科講師の北俊弘氏(写真)らが25日、日本高血圧学会のポスターセッションで発表した。

 北氏らは、宮崎県下の開業医による研究グループである宮崎高血圧治療研究会(58施設)を主体に、「降圧治療中の高血圧患者の実態と積極的降圧治療の有効性と安全性に関する調査(PALM-1)」に取り組んできた。その中で、降圧目標が達成できていない症例を対象に、強化療法の一つとしてロサルタン/HCTZ合剤の有用性を検討した。

 対象は、1カ月以上レニン-アンジオテンシン(RA)系抑制薬をはじめとする降圧治療を受けた本態性高血圧患者で、3カ月以上の観察期間に高血圧学会のガイドラインが示す目標値に達しなかった症例。研究会による登録症例は、2007年4月現在で137例に上るが、このうち今回の解析では、降圧薬の切り替え3カ月後の血圧値が把握できた107例を対象とした。

 患者の同意を得た上で、前薬のARBあるいはACE阻害薬からロサルタン/HCTZ合剤に切り替えた。切り替え後3カ月間を中間評価期間とし、この間は処方内容を固定し、1カ月ごとに血圧や脈拍数、有害事象などをモニターした。また、合剤の投与前と投与後3か月に採血し代謝系への影響を調べた。

 対象患者の背景は、男性66例、女性56例で、年齢は67±11歳だった。BMIは24.3±16.4kg/m2で、切り替え時の血圧は、SBP/DBPが153/86±13/10mmHgだった。また、切り替え時の尿酸値は5.46±1.41mg/dL(うち7mg/dL以上が22例)、切り替え時のK値は4.21±0.47mEq/Lだった。合併症は、糖尿病が37例、腎障害が5例、心疾患が19例、高脂血症が42例にみられた。前薬に用いられていた降圧薬は、ARBが108例、ACEが14例で、薬の数は1剤が49例、2剤が61例、3剤が12例に処方されていた。

 合剤の成績をみると、切り替え3カ月後の血圧は、SBPが22mmHg、DBPが10mmHg低下し、血圧コントロールが不十分だった症例にもかかわらず「予想以上の降圧効果」(北氏)だった。学会の高血圧治療ガイドラインが示す降圧目標に照らし合わせた場合、SBPで64%、DBPで94%もの患者が目標を達成していた。

 なお、こうした降圧効果は前薬の種類に左右されなかった。また、気になる尿酸値は、正常範囲内での上昇があったが、高尿酸血症例では有意な変動を認めていない。血清K値や血清脂質値に有意な低下を認めたが、血糖コントロールの面では有意な変動を認めなかった。これらの結果から北氏らは、懸念された代謝系への影響はごく軽度であると考察した。

 有害事象は、3カ月の観察期間中に9例観察された。このうち過度の血圧降下が5例にみられたほか、皮疹、脳梗塞が1例ずつに認めた。

 これらの結果を踏まえ、研究グループは「ロサルタン/HCTZ合剤は血圧コントロールが不十分な患者に対する強化療法として、有用な選択肢の一つである」と結論した。今後も症例の登録をすすめ、各種の層別分析を進めることにしている。