聖路加国際病院消化器内科の松田道隆氏

 救急外来を受診し上部消化管出血と診断された患者を調べたところ、患者数は気圧が高いほど多く、気圧と有意な関連を示すことが聖路加国際病院消化器内科松田道隆氏らの研究で明らかになった。4月21日まで東京で開催されていた第98回日本消化器病学会(JSGE2012)で発表された。

 気候と関連のある疾患としては喘息、脳血管障害、虚血性心疾患などが報告されているが、上部消化管出血について時系列解析により検討した報告は少ない。そこで演者らは、上部消化管出血患者数と気圧、気温、湿度との関連について時系列解析を行った。

 対象は、2009年9月1日から2010年8月31日までに都心の三次救急病院の救急外来を受診し、緊急内視鏡で上部消化管出血と診断された78人。平均年齢は64歳、男性53人。出血源は胃潰瘍69%、十二指腸潰瘍18%、その他13%だった。

 解析の結果、季節による患者数に有意な差は見られなかった。患者数と、当日の気温、湿度、気圧についての関連を調べたところ、気圧のみが有意な相関を示した(スペアマンの相関係数:0.10、P=0.048)。来院前日について調べてみても、気圧だけ有意な相関を示した(スペアマンの相関係数:0.14、P=0.007)。

 さらに多変量ARIMA回帰モデルによって回帰係数を求めたところ、気圧のみが湿度、気温と独立して上部消化管出血の罹患数と有意な関連を示した(気圧の回帰係数:0.0075、P=0.043)。

 松田氏は、「本研究は、NSAIDsや喫煙、併存症による補正を行っておらず、また単施設研究で症例数が少ないが、平均気圧と上部消化管出血の罹患率との間に有意な関連を認めた。そのメカニズムについては分からないが、今後、病気予報などへの応用などが期待される」と話した。

(日経メディカル別冊編集)