抗血小板薬服用者の無症候性胃粘膜傷害について検討したところ、内視鏡所見(MLS)が4以上の比較的強い無症候性胃粘膜傷害は、低用量アスピリン(LDA)の服用者のみに認めることが報告された。人間ドック受診者を対象に解析したもので、香川県立がん検診センター曽我部正弘氏らが、4月19日から東京で開催中の日本消化器病学会(JSGE2012)で発表した。

 演者らは、抗血小板薬による吐下血などの症状を伴う症候性胃粘膜傷害の危険性についての報告は数多く見られるようになったものの、LDAを含む抗血小板薬の服用者における無症候性胃粘膜傷害についての検討は十分に行われていないと判断し、今回の研究を行った。

 対象は2010年10月〜2011年10月の間に、香川県立がん検診センター人間ドックを受診した人で、抗血小板薬服用者で消化器症状がなく、かつ上部消化管内視鏡検査を受けた53人。対象をLDA単剤服用者(A群;32例)、LDA以外の抗血小板薬単剤服用者(NA群;16例)、LDA+他の抗血小板薬服用者(CT群;5例)の3群に分けて、患者背景や内視鏡所見(MLSなど)を比較した。また、MLS1または4以上を胃粘膜傷害有りとした場合の無症候性胃粘膜傷害の有無で、背景因子を探索した。

 その結果、胃粘膜傷害は全体でMLS1以上の症例が18例(34.0%)、MLS4以上が5例(9.4%)だった。これを3群ごとにみると、A群ではMLS1以上が37.5%、MLS4以上が15.6%だった。NA群では31.3%、0%となった。CT群はそれぞれ20.0%、0%だった。

 この3群間で胃粘膜傷害の発生については、有意差は認められなかった。しかし、MLS4以上の比較的強い無症候性胃粘膜傷害が認められたのはA群のみであった。なお、症例数が少ないことから胃粘膜傷害の有無について有意な背景因子は見つからなかったが、過去の報告と同様にHP陰性、胃粘膜萎縮が軽度であること、喫煙などが関係している可能性があるとした。

 これらの結果から演者らは、抗血小板薬服用者においてはMLS1以上の軽度の無症候性胃粘膜傷害は34%に認め、さらにMLS4以上の比較的強い無症候性胃粘膜傷害はLDA服用者のみに認めたと結論した。しかし今回CT群は症例数が少なかったとし、すでに報告があるようにLDAを含む複数の抗血小板剤服用者についても注意が必要であると付け加えた。その上で、LDA服用者では潜在性出血につながりうる無症候性胃粘膜傷害に注意が必要であると考えられると考察した。

(日経メディカル別冊編集)